第38話『ガールズトークだオセロッチ!!キウイちゃんの夢は!?』
☆白黒★オセロッチ!
【前回までのお話】
サマーキャンプで風吹山キャンプ場にやってきたオセロッチ達一行。男子達は外でテント泊をする!
ユメちゃんとキウイちゃんはコテージに泊まるぞ!
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第38話『ガールズトークだオセロッチ!!キウイちゃんの夢は!?』
ユメちゃんとキウイちゃんはテントで寝る男子達と違いコテージに泊まっている。
コテージとは小さくて簡素な山小屋のようなものだ。
豪華ではないが屋根の下で布団を敷いて寝ることができる。
「いやー、今日は疲れたよねーユメ子!」
「うん!もうクタクタだよ!」
ユメちゃんは布団に寝転がり、キウイちゃんは短い髪を櫛で梳かしていた。
「やっぱ断然こっちのがいいよねー!疲れてる上に外で寝るとかほんときついよねー」
「外はちょっとね…」
ユメちゃんは今にも寝入りそうだ。
「あ!そういえばユメ子!きいたわよー!小谷くんから告られたんだって!?」
「え!?キウイちゃんも知ってたの!?」
「あったりまえじゃん!みんな知ってるよ!それで、今付き合ってるの!?」
「ま、まさか、断ったよ!」
「えー!?マジで!?ありえないじゃん!小谷くんだよ!?」
「だって、付き合うとか、小学生じゃんあたしたち!」
「んもー、ユメ子は遅れてるな〜」
「そ、そういえば、キウイちゃん、バレーのほうはどう?」
なんとなく苦手な方へ話の舵を切られそうだったので、ユメちゃんは咄嗟に話題を変えた。
「先輩たちが引退してさ、今年からなんとかレギュラーになれたよ。でもまだこれから。今度さ、横林市のチームと練習試合があるんだ!絶対に勝ってやるんだー!」
「へぇー、スゴいじゃん!!」
「ほんとはさ、あたし、東脇商業附属中学に入りたいんだよね。」
東脇商業とはユメちゃん達が暮らす地域では有名な私立高校で、スポーツの名門である。特に有名なのは陸上部で、箱根駅伝のランナーを何人も輩出している。
バレー部も強豪で、春高バレーに出場したこともある。
「すごいね!」
「あそこのバレー部でレギュラーになれたら最高だよ!でも今のチームでもあたしより上手いコなんてたくさんいるし、もっともっと練習しなきゃなんだけどねー!」
「スゴいなーキウイちゃんは・・・あたしにはムリだ。」
壮大な夢があるキウイちゃんに比べると、
自分は平凡だなとユメちゃんはおもった。
「そっかな?別に好きでやってるだけだけどね!」
好きでやってる・・・
オセロッチと同じだ。
ユメちゃんはふと、キウイちゃんにきいてみたくなった。
「あのさ、キウイちゃん、変なこときいていい?」
「え!?な、なによ」
身構えるキウイちゃん。
「なんかの事情でさ、バレーができなくなっちゃったとしたら、どう思う?」
「なんかの事情って…ケガとか?」
「う、うん。例えばだけどね?」
キウイちゃんは顎に手をあてて考え込む仕草をする。
「そうだなー、すっごく悔しいと思う!大好きなことがあるのにそれができないなんて、くやしくてたまらないと思うな!」
「…やっぱりそうだよね、」
「でも、なんでそんなこときくの?」
「ゴメン!なんでもないの!忘れて!」
顔の前でぶんぶんと手を振るユメちゃん。
「あははッ!(笑)ヘンなユメ子!(笑)」
「キウイちゃんみたいなコって憧れちゃうな…夢中になれる何かがあるって…」
「そんなのユメ子にもあるでしょ?」
あっけらかんとキウイちゃんが言う。
「あたしは別に、なんもないよ」
「そーかな?ユメ子ってすっごく漫画に詳しいじゃん!アッコ達とよく漫画の話してるでしょ?」
ユメちゃんはアッコ達と協力して、なかよし、りぼん、マーガレットに加え、花とゆめにまで手を出していた。
それどころかお兄ちゃんが読んでいるジャンプやサンデー、チャンピオンにも目を通し、挙句の果てには近所の幼児トモヒロが持っているコロコロまで読ませてもらっていた。
「そ、そんなの、ただ好きでやってるだけだもん・・・」
「じゃああたしとおんなじじゃん!あたしはバレーが大好き!ユメ子は漫画が大好き!好きなものが違うだけじゃん!」
そっか、
そうなんだ…
あたしがもし漫画を読めなくなったらどうなるだろう…
きっとつまんないだろうな…
オセロッチもそうなのかな…
くやしくて、
つまんないのかな…
「ふぁ〜ぁ、そろそろ眠くなってきちゃった…ユメ子とゆっくり話すのもなんだか久しぶりだね!昔はよくオセロッチと3人で松ぼっくり投げて遊んだよね〜。あの頃はガキだったわ」
「うん…(今でもやってるんだけど…)」
「来年はあたし達中学生だから、みんなバラバラになっちゃうのかなぁ。」
「中学・・・。」
遠い未来だと思っていた中学が、もうそこまで迫っている。
ユメちゃんにはその実感がない。
「でもこうしてみんなで来れてよかった!そろそろ寝よ!明日は下山がんばろー!」
「うん!おやすみ!」
ちょっぴりセンチメンタルな気持ちを残して、
ユメちゃんは眠ることにした。
こうして、
サマーキャンプの夜は更けていくのだった。
(つづく)
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