第16話 『満身創痍だオセロッチ!死闘を制すのはどっちだ!?』
☆白黒★オセロッチ!
【前回までのお話】
対戦相手のマジメ正一に毒を盛られたオセロッチ…満身創痍ながら最後の力で振り絞った一手は・・・っ?!
前回
第16話 『満身創痍だオセロッチ!死闘を制すのはどっちだ!?』
「「「うおおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!!!!!!!!!」」」
闘技場が割れそうなほどの、大歓声で地鳴りが起きている。
それもそのはず、
オセロッチが最後に放った白チップが、
マジメ正一の黒チップをすべて白に変えてしまったのだ!
「う、ウソだろ・・・こんなことが・・・。」
マジメ正一は膝から崩れ落ちた。
「言っただろ・・・お前はすでに、負けてるってな・・・。」
オセロッチは椅子から転げ落ちて、
床に横たわった。
ゼェゼェと荒い息をしている。
と、そこへ
救急隊員が担架を持って駆けつけてきた。
隊員に脈を測られるオセロッチの顔は、
血の気を失って青白い。
焦点の合わない目で盤上を見つめるマジメ正一。
「信じられない・・・奇跡のような一手・・・やはり、天才はきみだったんだ・・・。」
マジメ正一の握りしめた拳に、涙の粒が、ひとつふたつと落ちた。
ーーーマジメ正一は思い出した。幸せだった日々のことを…
「正一兄ちゃん!またオセロの大会で1位になったの!?すっげーなー!!」
「おにいたん、あたちもおちぇろうちたいー!」
「正一、お前は天才だ!俺に似たのかな!?」
「うふふ、あなたったら。正一、あなたは自慢の息子だわ。」
失ったものはもう取り戻せない
いったいどこで道を間違えたんだろう・・・。
いや、取り戻せるものもあるんじゃないか。
自分次第で。
僕はまだ、
やり直せるだろうか・・・。
担架で運ばれていくオセロッチに向かって、
マジメ正一は大声で叫んだ。
「オセロッチーーーっ!!ぼく、自首するよー!!少年刑務所で罪を償うから!!今度こそ正々堂々と勝負するから!!」
マジメ正一の顔は涙と鼻水でべちょべちょになっている。
「だから、またいつかぼくと打ってくれーーーッ!!!」
オセロッチはメガネと白い歯をキラリと光らせ、
「アバヨ!」
と言った。
場内は大興奮
二人の激闘を、万雷の拍手がねぎらっていた。
ここはオセロ天空闘技場から遠く離れた高層ビルの一室。
シンプルだがセンスのいい家具が揃っている。
部屋の主はセンスのいいソファに寝転がっている。
センスのいい電話が鳴った。
細い手が伸びて受話器を取ると、相手がいきなり話し始めた。
「正一がやられました。」
「・・・相手は?」
「オセロッチとかいうよくわからない奴です。正一はどうします?ツブしときますか?」
「あいつは口を割らない。なにもするな。」
「で、ですが…」
部屋の主は通話を切って電話を元の位置に戻した。
おもむろに立ち上がり、窓外に広がる夜景に目を落とす。
「オセロッチ・・・か。」
窓ガラスには笑みを浮かべた顔が映っていた。
(奇跡の一手で見事な勝利だオセロッチ!!大丈夫か!?)
次回 ☆白黒★オセロッチ! 第17話 『オセロッチの療養生活!女心はオセロよりも難しい!?』
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