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第49話『事件解決だオセロッチ!ユメちゃんの決心!!』

      ☆白黒★オセロッチ!


第49話『事件解決だオセロッチ!ユメちゃんの決心!!』

【これまでのお話】
ユメちゃん家のモジャが消えた!
モジャ捜索隊を結成して探したけどみつからない!!
しかし、
オセロッチだけが、モジャの居所を掴んでいた・・・!?

前回



「モジャが見つかったってどういうことだよ!!」

吠えるシシ丸。

シシ丸、ユメちゃん、コナベっち、ミジンコ、オセロッチは別室に移動して、車座になって話していた。

「モジャは無事なの!?説明してよ!オセロッチ!!」

懇願するユメちゃん。

「モジャは無事でやんす・・・、今はある場所で元気にしてるでやんす・・・。」

ミジンコは言いにくそうにたどたどしく話す


「ある場所ってどこよ!?」

ユメちゃんはしびれを切らしている。


「それは君から説明してもらおうか・・・、コナベっち!!」

オセロッチのメガネがキラリと光った。

「ど、どうしてあたしが!?知らないよ!なんにも!!」

あわてて後ずさるコナベっち


「まず、きみがこの捜索隊に参加している時点で不思議だったんだ。きみは三ツ目通りで、ここに来る途中のシシ丸とミジンコに偶然出くわしてついてきたって言ったよね?」

コクンとうなずくコナベっち

「どうしてきみが朝早くに三ツ目通りを歩いてたんだい?きみの家の方角とは全然違うだろう?」

「そ、それは、ちょっとお散歩にいってただけで・・・。」

うろたえるコナベっち

「そして決定的だったのはきみがモジャのしっぽの形まではっきり覚えていたことだ。」

オセロッチはメガネをくいっと上げた。

「そ、そんなの別に、あたしだってモジャちゃんを見たことあるんだもん!!しっぽの形くらい覚えてるよ!!」


オセロッチはふーっと息を吐いた。


「それでミジンコに頼んだんだ。コナベっちの家を見てきてほしいってな。必ずモジャがいるから。」

オセロッチの鋭い眼光がコナベっちに突き刺さった。

コナベっちは、わなわなと震えだした。


「オイラはオセロッチに言われた通り、コナベっちの家を見に行ったでやんす。そしたら、多分あれは…コナベっちのおばあちゃんが、縁側に座ってるのが見えたでやんす。それで・・・」

ミジンコがとつとつと語りだした。


「それで・・・?」

固唾を呑むユメちゃん


「そのおばあちゃんの腕には、モジャが抱かれてたでやんす!!」


「「「 !!!!!!ッ 」」」

驚愕する一同


「どうして・・・!?コナベっち・・・」




「ごめんなさいッ!!!ユメちゃんッ!!!!」

コナベっちは立ち上がり、頭が膝につきそうなほどに腰を折った。


「ほんとにごめんッ!!!こんなつもりじゃなかったのに・・・ッ!!!ほんとに・・・ほんとなの・・・」

早くもコナベっちの小さな目から大粒の涙がこぼれだした。


「やい!コナベっち!!てめえ自分がなにしたかわかってんのかァ!!!」

コナベっちに殴りかかろうとするシシ丸

を、ユメちゃんが制した。

「ちょっとまって!!!」


「ねえコナベっち、どうしてなの?きみがイタズラでモジャを連れ去るはずない、きっと理由があったんでしょう?」

ユメちゃんが冷静な声で尋ねた。


「・・・あたしの家のチャッピーが、去年死んじゃったの・・・。」

コナベっちの自分語りがはじまった。

「それでね、そのチャッピーのこと、おばあちゃんがすごく可愛がっててね、おばあちゃん、前から認知症でぼけちゃってたんだけど、チャッピーが死んでから、もっとひどくなって・・・。」

「すごく怒りっぽくなって、あたしのことを叩いたり、怒鳴りつけたりするようになって・・・」

「それでね、今日の朝、たまたまモジャちゃんがうちの前を歩いてるのが見えたんだ。だから、ほんとはダメだと思ったんだよ、ユメちゃんに教えなきゃって思ったんだけど・・・」


「モジャちゃんが・・・チャッピーと少し似てたから、おばあちゃんに見せたら、喜ぶんじゃないかと思って・・・また、前の優しいおばあちゃんに戻るんじゃないかなって思って・・・。」


「それで・・・ちょっとだけのつもりだったんだけど、おばあちゃんに見せたら、大喜びでモジャちゃんのことチャッピーだと思いこんじゃって・・・。おばあちゃん、明後日には施設に入ることになってるから、それまでの間だけのつもりで・・・」


要約すると、認知症のばあちゃんの為にユメちゃんの犬を盗んだと言っている。
自らが捜索隊に参加することで捜索の目を逸らそうとしたのである。



「コナベっちのバカぁッ!!!!」

激昂するユメちゃん。

「なんで正直に話してくれなかったんだよぅ!!!」

「なんでもっと早く相談してくれなかったんだよ!!!」

すごい剣幕でコナベっちに詰め寄る


「言ってくれたら、コナベっちの家にモジャを連れて行ってあげたのに!!!あたしが断るとでも思ったのかッ!!!どうしてあたしを頼ってくれなかったんだよぅッッッ!!!!」


ユメちゃんとは付き合いの長いオセロッチだけど、こんなに泣きわめいているユメちゃんを見たのは初めてだった。


「そ、そうだぜコナベっち。水くせーんだよっ!!そんなにつらかったんならオレたちに相談しろよ!オレたち友達なんだからよ!!」

シシ丸も涙で声を震わせている。


それからしばらくの間、ユメちゃんとコナベっちは大声を上げて泣いていた。
オセロッチ達は二人が泣き止むまで辛抱強く待った。






ぐすんぐすんと、洟を啜る音が響いている。

「ユメちゃん、ほんとうに・・・・。」

ひとしきり泣き終わり、改めて謝ろうとするコナベっち

手の甲でゴシゴシと涙を拭くユメちゃんは、
吹っ切れたような顔でこう言った

「・・・、もういいよ!コナベっちにも事情があったんだし!明後日までモジャのこと、よろしくね!!」

ユメちゃんも泣き止んで努めて明るく振る舞おうとしている。

「え・・・ッ!?・・・いいの??」

「いいよ!!特別にレンタルモジャってことで!!可愛がってね!!」


「・・・ありがとうッッッ!!!」

固く握手するユメちゃんとコナベっち。


「でもよ、捜索隊はどうするよ?ゴヌ蔵軍団にサッカークラブの連中まで協力させちまったし…」

「他にもオイラが知ってるヤツに片っ端から電話しちまったでやんす……。」

バツが悪そうなシシ丸とミジンコ


「あたしが、みんなに謝るよ……。本当のことを話す……。」

覚悟を決めるコナベっち。


「コナベっち・・・。」

シシ丸は憐れみの表情を浮かべている。
これだけ大騒ぎして犯人が仲間の中に居たとなればただでは済まないだろう。
コナベっちは後ろ指を差されながらこの町で生きてゆくのだ…。


「コナベっち、ここはあたしにまかせて!」

ユメちゃんは片目でコナベっちにウインクして、颯爽と捜索隊が待機する大広間へと単身で乗り込んでいった。



大広間で休憩していた捜索隊員たちが顔を上げ、一斉にユメちゃんを見る。

ユメちゃんは息をスーっと吸い込んだ。


「みんなーっ!!ほんとにごめん!!モジャはお母さんがペットホテルに預けてたんだった!!あたしったらそのことすっかり忘れてたの!!ほんっっっっとにゴメン!!!」

ユメちゃんの大声が大広間に響き渡る。



「えー!なんだよそれー!!」

「なんなんだよ人騒がせだなーっ!」

「さがして損したぜー!!」

早速、捜索隊からブーイングの声が上がる。


「みんなほんとにごめん!!でもありがとう!!」

ユメちゃんはさっきのコナベっちのように頭を下げた。


捜索隊からは怒声のようなものも聞こえてくるが、
キャプテンとゴヌ蔵は何かを察したようだった。

「ま、まあ、とにかく、なにごともなくてよかったな」

キャプテンは言葉を選んでいる。

「まあ誰にでも忘れちまうことはある」

やれやれといった感じのゴヌ蔵。



「ゆ、ユメちゃん・・・、あたしの為に・・・。」

そのユメちゃんの後ろ姿を見ながらコナベっちはまた泣いていた。

「コナベっち、ユメ子に借りができたな。ユメ子はちっせえくせに度胸がある女だぜ!」

シシ丸はなんだか誇らしそうだ。

「これからは困ったことがあったら、オイラ達に相談するでやんすよ!コナベっち!!」

ミジンコが調子のいいことを言っている。


オセロッチはユメちゃんの小さくも頼もしい背中を見つめ、

「ったく、世話が焼けるぜっ。」

と言って、ヘヘンと鼻をこすった。


ペット探偵オセロッチ!見事に事件を解決したぞ!!


(つづく)



次回 ☆白黒★オセロッチ! 最終回『最終回だぜオセロッチ!?天才少年よ永遠に!!』
また見てね!

☆白黒★オセロッチ! 第一話はコチラから


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