やってきた少女と草
やってきた少女は、数年ぶりに、二十歳そこそこになって、やって来た。
日帰りだったが、何か思うことがあってのことのようだ。
しかし、方丈様は先約があり、彼女の話を聞くことが出来なかった。
仕方なく、庭の雑草を引いておいてくださいと頼まれた彼女は、説明不足だったために、抜いてはならぬ大事な草を、間違ってありったけ抜いて帰っていってしまった。
大切に生やしていた草が忽然となくなり、つるんとした岩がむき出しになった。あたりにはまだ土が散らばっていた。
方丈様は怒ることなく少女を見送ったが、その後、現場を眺めながら、これはどうしたものか・・・と固まっていた。
そしてしばらく眺めた後
「こんにゃろ〜」
と言った。
方丈様でも、こんにゃろ〜と言うんだな。と思って
とにかく私は笑うことにして
アッハハハと笑った
方丈様は照れながらほほえんでいた
見慣れれば、つんつるてんの庭も、たいしたことではないと思った。