小坊主おじさんOさん

おでこにコブがあるお坊さんで、背はそんなに高くない。
冬は毎朝、必ず「寒い寒い」と言って起きてきて、洗面所で大きな音をたててタンを吐く。
ここのお寺は禅寺だから、誰もが静かに暮らすよう努めているのに、Oさんだけはそうしていなくて、そんなところが私には助かった。
Oさんはお坊さんなのにすぐ怒ったし、わがままだったし、思ったことを何の考えもなしにぽんぽん口にしていた。
思い返せば、本当に微塵もお坊さんらしくない人だった。ただのこどもみたいなおじさんだったのだ。
けれど、私はお寺に居た一年間、この人にとても助けられた。
お坊さんとしてだめなところがあったのかもしれないけれど、心はなんだかすこやかなのだ。
そんなOさんは、ぴったりな名前をお持ちだった。私は何度も、ぴったりな名前だなと思った。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?