アメリカ人お坊さんのお経
食事の際は、最も位のたかいお坊さんがお経を唱える。
木の道具をカンカンと鳴らした後、他の修行者たちも続くのだが、
その日は行事があり、慌ただしい日で、方丈様が席を外しており、
その次に唱えるお坊さんまでもが続いて二人欠席していた。
なので、アメリカ人おじいさんお坊さんが唱えることになった。
アメリカ人おじいさんお坊さんは、わりと日本語を話せるが、漢字だらけのそのお経は、うろ覚えらしく、読むのもおぼつかない様子で、その場にいた数人が、クスクス笑い始めた。
アメリカ人おじいさんお坊さんは、それを聞いて、お経を読むのをやめ、大きなため息をついた。
そしてサラサラサラ〜と流暢に英語のお経を唱え終わると、カンカン!と木の棒をならした。それ見たか!といった音だった。
一瞬あ然とした後、あわてて私たちもお経に続き、食事を始めた。