つれづれ
海に行きたい
唐突にそう思った。
きらきらとした波打ち際を眺めて、潮騒を子守唄にお昼寝をしたい。
それから、砂浜に膝をついて内側がツヤツヤで綺麗な貝殻や、ただの巻貝だと思ってヤドカリを拾ったり。
角のまるくなった薄く白っぽいシーグラスを拾いたい。
わたしは浜辺に流れ着くあれらがとても好きだ。
詰め込めるだけをポケットに詰め込んで、家まで持ち帰ったら『宝箱』にいれるくらい、大好きだ。
いつもなら憎たらしいけれど、
じりじりと熱い陽射しに焼けていく肌も、湿度も。
この時ばかりは、いっとう愛せる気がする。
海に行きたい。
出来れば人の少ない北の海に。
曇り空の日にはひどく侘しげな雰囲気で
ずっとそこにある海に。
そこに行って木の下で足を抱えて
海と空と、地平線を眺めて
一日をそうやって過ごしたいと思う。
海に行きたい。
つまりは遠くに行きたい。
仕事や恋人、友人、生きることから
ずっと遠ざかって楽になりたい。
うみに、いきたい。
仕事に行く為に家に出て、よく分からない電車に乗って。
知らない海に辿り着きたい。
あわよくばそこが気に入って、住んだりしたい。
今はどこまでも遠くに行きたい。
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