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ひらめきは常識の裏側にあり

中学校2年生の頃、大好きだった宮沢りえの篠山紀信によるヌード写真「Santa Fe」が出版され話題になった。これは個人的にも世間的にもかなりセンセーショナルな事件で、その写真集のことが頭から離れなかったのだが、当時の自分の小遣いではとてもそれを買う余裕もなく諦めていたところ、仲の良い友達から"入手したから見に来ない?"という願っても無い素敵なお誘い。持つべきものは友!と友達に心の中で感謝しつつ、早速見せてもらうために家に遊びに行くことになった。

玄関に入り、一目散に階段をかけ登り、興奮気味に友達の部屋に入る。友達は大事そうに写真集を取り出し、はやる気持ちを抑えつつ息を飲みながら一緒に見ることになった。友達にとっても私にとっても初めての瞬間。それはそれはとても美しく、想像が膨らむ刺激的な写真の数々。1枚1枚を大事にめくり、見終わった時には感嘆のため息が漏れるとともに、部屋の中は何とも言えない幸福感に包まれていた。

その帰り際、部屋を出て階段を降りるとき、その正面に1枚の張り紙があることに気が付いた。そこには手書きでこう書かれていた。

ひらめきは常識の裏側にあり!

当時はまだアイデアがどうやって生まれるのかなどは全く考えたこともなかったが、この言葉は"Santa Fe"のビジュアルと共に鮮明に焼き付くことになった。階段を登る時には気づかなかった、この張り紙。この貼ってある位置もまさに"裏側"で絶妙だ。友達の父親のセンス、恐るべし。ちなみに写真集は親に内緒で入手したようで、敷き布団の"裏側"に隠されていた(笑)

以来、何かあるごとにこの言葉が思い出され、常識を疑う習慣が自然と身についたのかもしれない。つまりは宮沢りえにはとても感謝している、というわけ。

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