(第1回)桜が好きです
桜が好きです。好きなんです。一体いつから見てたんだろう?
幼いころの記憶。最初の桜って意外と思い出せないもの。ずっとなじみある存在として覚えてるのは、故郷の実家近くにあるお城の桜。
自分の生まれ育った新発田(しばた)市は新潟県北部の中核都市で、古くから栄えた城下町。外様大名溝口氏が代々治めた小さなお城なんだけど、北国には珍しい切込接 (きりこみはぎ)の石垣上から、満開の花びらいっぱいのソメイヨシノ(染井吉野)の大きな大きな枝が垂れ下がる姿に、子供時分の私でも春が来るたびときめいたものです。
そして、もうひとつ。あやめで有名な五十公野公園にある桜の木々。ソメイヨシノに混じって、何本か桜の実がなる木があるんです。サクランボの原種?とでも言っていいのかちっこいやつで、野山が遊び場の子供たちにとっては格好のおやつです。渋みもあり口の中いっぱい紫色に染まっちゃいますが、美味しく楽しく春のごちそう頂いてました。
八重桜もね、実は子供の頃、家の庭にありました。でも、毛虫付いちゃうとかで、いつの間にか処分されてました。大きく育ったら一体どんなだったんだろう?と想像しちゃいますけど、大木になったらなったで大変!という話も聞きますよね。
品種は今にして思えばカンザン(関山)だったと思います。八重桜と言えばピンクのお団子みたいな桜、八重桜が散ったら朝顔やヒマワリの種まき、みたいな感じですよね。
そんな、ごくごくありふれた知識しか持ち合わせない子供時代を過ごしてきましたが、高校卒業と共に上京し何年も経ち、いろいろな出会いもあって、いっぱい品種があるんだなぁって、桜を追っかけるのがいつしか好きになってしまいました。
今でもまぁ、毎年これはなんだったっけなぁ?で、名札と花とをニラメッコしながら一喜一憂し、春が過ぎたら翌年まですっかり忘れてる状態ですが、それはそれでまた楽しいものです。
(つづく)
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