(第4回)八重桜いろいろ
八重桜はサトザクラのこととご紹介しましたが、サトザクラにも種類がいくつかあるんです。かく言う私も代表的なものしかわからないのですが、実際に見て理解したり、こうなんだなぁと思った範囲で書こうかなと思います。
イチヨウ(一葉)
イチヨウは時期的にはソメイヨシノのすぐ後に咲く八重桜の品種で、その名の通り花の中心部に小さな葉っぱ化した雌しべが1本生えています。葉化(ようか)と言って、若干遅れて咲くフゲンゾウ(普賢象)、ショウゲツ(松月)なんかでも同様に見られます。
咲き始めは淡いピンクですが、時間が経つにつ入れて白色に変化していきます。花の付き方は塊が他の人気品種に比べやや緩やかに感じますが、樹齢や生えている場所によっても異なるようです。
イチヨウ、フゲンゾウ、フクロクジュ(福禄寿)は割と似たように見えるのですが、開花の時期はイチヨウが一番早めで、フゲンゾウ、フクロクジュと続きます。そして見分けるのにはやはり、ぶら下がってる名札に頼るのが一番(苦笑)。
東京では新宿御苑が名所になっていて、ソメイヨシノとの春の共演がとても華やかです。
フゲンゾウ(普賢象)
フゲンゾウはイチヨウと似ていますが花の葉化が2枚(2本?)のものが多く、また、象の鼻のように見えることから、普賢菩薩が乗る象に見立てられ、その名の由来ともなっています。
若葉も開花と同時に目立つのですが、赤茶がかって落ち着いた雰囲気があるのも見分けるポイントになるかと思います。また、花色は盛りを過ぎると赤みが増し、1本の木でも紅白の花が楽しめるようになります。
ネット上で調べると室町時代から名が知られる品種のようで、鎌倉にあった普賢菩薩を祀るお堂に生えていた桜の名木「普賢堂」がルーツとのことでした。
フクロクジュ(福禄寿)
フゲンゾウに負けず劣らず、こちらもありがたいお名前です。開花時期はフゲンゾウよりやや遅めと思いますが、若葉はきれいな緑色で花色も濃く明るいイメージです。
新宿御苑の奥の方、並木になっている庭園右側手前に、1本立ちしたとても大きなフクロクジュがあります。毎年、木の下には多くの花見客が集まり、暖かな春の陽気を感じさせてくれますね。
ショウゲツ(松月)
あまり大木にはならず、傘を広げたようなスタイルになるのがショウゲツです。イチヨウやフゲンゾウよりか、開花はやや遅めと思います。
咲く前のつぼみの桃色は、濃く美しくです。
花が開くにつれ純白へと変化し、若葉の緑色とともに独特の優し気な雰囲気を醸し出します。
自分がこの花にシャッターを向ける時は、その空気感をなんとか表現したいなぁと、いつも思ってしまいます。
カンザン(関山)
お花見のフィナーレを飾る、立派なお団子のような花をつける濃いピンクの桜で、八重桜と言えばほぼこれ!のド定番!
花色はずっと濃いピンクで変化はそれほど無いと思いますが、食品に加工するにはそこがまたうってつけなのか、桜湯や桜あんぱんの塩漬けではカンザンが使われるとのこと。
葉っぱはフゲンゾウ同様に赤茶がかり、開花と共に若葉も割と目立ちます。キリン(麒麟)という品種もカンザンによく似ているのですが、キリンは葉っぱがギザギザなのに対し、カンザンにはそれが無いとのこと。
花びらの枚数も多い(20から50枚ほど)ので、桜並木での花吹雪はソメイヨシノよりも圧巻だと思います。
(つづく)