【看護師あるある】つい突っ込みたくなる医療ドラマの手術シーン
看護師という仕事柄か、医療ドラマはいちおうチェックしています。
でも、「おい、おい;;;」て、つい、突っ込みたくなるんですよね。
とくに、手術シーン。
私が天邪鬼なだけかもしれませんが、私なりの“突っ込みポイント”を勝手に挙げてみようと思います。
その① 手術室はけっこう賑やか
静まり返った手術室に、規則正しく鳴り響くモニター音。緊張感が漂うシーンです。
でも、私は手術室勤務時代、そんな緊張感漂う手術に立ち会った経験がありません。
私が勤務していた手術室は、有線が入りました。自分でCDを持ち込むこともできたので、局所麻酔の手術患者さんはお気に入りのCDを持ち込まれることもありました。
全身麻酔の場合、麻酔導入まではリラックスできるような音楽を流し、手術の準備が整ったら、執刀医によっては自分のお気に入りの音楽を流す先生もいました。
ある先生は「シーンとしていると緊張するから」と、自分のiPodで洋楽ロックをかけていました。
その② 先生たちは結構おしゃべり
例えば、胃がんの手術。
まず、お腹を開け、次に腹膜というお腹の臓器を包む膜を開けます。そうすると、ようやく手術の目的地である“胃”が見えてきます。
でも、目的地に到達するまでは、意外とまったりした時間が流れます。だから先生たちも、割とゆったりモードでいろいろとおしゃべりしています。
「この前、久々のゴルフでスコアがさぁ・・・」
「あそこの病院の○○先生は、あいつはなぁ・・・」
「○○さん(病棟ナースの名前)、愛想ないよなぁ・・・」
など、など。
どうでもよい雑談から、教授や病棟看護師、果ては患者さんの悪口まで、いろんなお話が聞けます。
会話には、私たち手術室看護師や麻酔科医、手術器具メーカーの方々も立ち会うことがあるので業者さんも加わって、みんなでワイワイやっています。
ドラマでみるような、終始、緊張した会話というのはまずありません(でした)。
もちろん、目的地に達したら、ドラマでよくみるようなシリアスモードにパッと切り替わり、私たち手術室看護師も忙しくなります。
その③ その手、不潔です!!
一番突っ込みたくなるのが、手元です。
手術の時に着用する術衣の着方を毎回チェックしていますが、今までみたどのドラマも私的には全てNGでした。
何が問題かというと、、、
術衣の手首の部分、白いメッシュになっています。俳優さんの手元をよくみると、この白いメッシュが手首まで下がっているのです。
私が手術室に配属され、最初に手洗いやグローブの着用の仕方を教わった時、注意を受けたことがあります。
まず、グローブを着用する時は指先をほんのちょっとだけ出します。
そして、術衣の白いメッシュ部分で手の甲と掌を覆いながらグローブをつけます。
メッシュ部分から出して良いのは指だけ。だから、メッシュが手首まで下がっているのはおかしいのです。
医療現場では、菌やウイルスが1個でも存在すれば“不潔”と呼びます。
完全な無菌状態でなければ“清潔”とは言えません。
ヒトの皮膚には常在細菌があり、手洗いで一時的に無菌状態にできても、時間が経つと皮膚表面に常在細菌が出てきます。
もしグローブに穴が開いてしまったら、そこから皮膚の細菌が手術野に出てしまいます。そのような状況を防ぐため、感染のリスクを極力少なくするために指だけ出すようにグローブを着用するのです。
と、マニアックな目線で手術シーンについて書いてみました。
手術室って、病院の中でもミステリアスな場所かな?と思います。
普段、ほとんど見えない部分だからこそ、実際にそこで働いていた者としては、「おいっ!」て言ってしまいたくなることが沢山あります。
ドラマはドラマとして楽しんでもらいながら、「でも、実際はこんな感じなのかな?」と想像しながらみていただくと、また違った医療ドラマの楽しみ方ができるのではないかと思います。
私の個人的におすすめの医療ものも、今後、紹介できたらと考えています。
今日は、ここまで。お付き合い頂き、ありがとうございます。
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