B.E.夏号 第1章「こころの問題とは何か?」
こころの病の原因は、脳の機能が不具合を起こしたために生じたのか、あるいはマブイ(魂)を落としてしまったために生じたのか(7章参照)、どれも見方によってはもっともらしく聞こえてしまうのではないだろうか。
結局は「何を信じるか」ということなのかもしれない。現代医学や脳科学という研究や実験に基づいた科学的知見の立場をとるか、あるいは、一見すると理解し難い霊的(スピリチュアル)な存在を信じる立場をとるか、もはやどんな生き方を採用するかは自ら選び取るものであって、世の中の人誰もが「この生き方しか無いよね」と共通の価値観など無いに等しい時代。選び取ったからには責任が生じるため、「どんな結果が出ても自己責任」と言われてしまうでしょう。
今回の特集でインタビューさせて頂いた専門家の方々が日々向き合うのは、生きづらさを抱えた人たちです。耐えられない悲しみを抱えた人、重すぎる責任を幼くして背負わされた人、将来のためだからと無理やり自分を鼓舞し続けなければならない人、そういった人たちが何を考え、どう行動したのか、わたしは興味がありました。かくいうわたしも、無理やり自分を鼓舞し続けながらも、それに耐えきれなくなって一度は挫折した人です。臨床心理学の領域には「傷ついた治療者」(7章参照)という概念があります。自らも傷ついた経験があるからこそ、今度は傷ついた人を癒す立場になるという考え方です。きっと傷ついたことがない人などいないでしょうから、誰かに共感してもらえるはず。
ぜひ、ゆっくりと本誌を読んでみてください(長いので)。そして、人生どこかで立ち止まっても大丈夫です。わたしは一年間は立ち止まっていました。本誌が、あなたの心を少しでも軽くする一助になることを祈ります。
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春号の購入、誠にありがとうございました。最新夏号では「こころの問題」をテーマに、『こころのナース夜野さん(小学館)』『リエゾンーこどものこ…
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