15分でわかる月刊コミックゼノン批評#1(書き起こし版)
漫画のことならこれを聴いてね。OTANIACS TIME!!この番組は漫画好きの皆さんのためにお送りする、漫画紹介番組OTANIACS TIMEです。お送りするのは、合同会社OTANIACS代表の鈴木です。
3月25日に発売された月刊コミックゼノン最新号の中から注目連載作品について語っていきたいと思います。詳しくない方のためにコミックゼノンについてご紹介しますね。
コミックゼノンはコアミックスという出版社から出版されている漫画雑誌で、ジャンプやマガジンと比べると創刊されたのも2010年と比較的新しい漫画雑誌です。特長としては、シティハンターで有名な北条司先生、北斗の拳で有名な原哲夫先生など漫画家の方が経営陣として企業を運営していることと、ご存知終末のワルキューレなど大ヒット漫画を生み出している出版社であるということです。では、早速本誌の中身に入って行きましょう。
表紙は終末のワルキューレ。そして、先日コミックス第1巻が発売された「オタクに優しいギャルはいない!?」などです。
今月注目したい作品1つ目はテンゲン英雄大戦です。コミックゼノンといえば、終末のワルキューレ、終末のワルキューレといえば「神vs人類」のガチンコバトルですが、歴史に名を残す英雄同士を戦わせることに定評があることは周知のことと思います。
そんな中で連載が始まり最新号で第5話を迎えているのがテンゲン英雄大戦です。世界史好きの男子高校生が異世界に迷い込んでしまうお話なんですが、織田信長や諸葛孔明など歴史の教科書でお馴染みの英雄たちも転移してきており群雄割拠、天下取りのために争っている世界が描かれています。織田信長と新撰組の近藤勇が同じ軍でオールスターを形成しており、厨二病を患いかねないワクワクが得られる漫画です!
実はこの手の漫画は他誌にも多くあって、週刊ヤングジャンプには「黒鉄のヴァルハリアン」があるし、コミックゼノンには女性版の終末のワルキューレとも呼べる「魔女大戦」が連載されています。同じ雑誌内で被っちゃ不味いとなったのか、テンゲン英雄大戦には女性キャラの名前が無いのでちょっと残念かも。
この漫画の面白さは”英雄たちの最強決定戦”をみることはもちろんですが、英雄の描かれ方が面白いところも最高です。例えば、織田信長とかは大河ドラマでも映画でもアニメでも描かれまくってこすり倒されているキャラクターですが、本作では短髪で黒いサングラスをかけ、奇妙なネックレスをし、口髭をたくわえるという新しい信長が描かれていて、うつけ感は満載だと思います。最新話では、織田軍と諸葛孔明軍が戦っており、双方軍略を駆使した戦いを繰り広げていますが、どうしても描かれ方がキングダムを彷彿とさせかねないため、比べてしまうと若干物足りないように思うかもしれません。しかし、キングダムと明確に異なるのは、テンゲン英雄大戦に登場する英雄たちには特殊なスキルが与えられていて、必ずしも軍略に長けたものが勝つという世界では無さそうな様子。一発逆転もあるでしょうね。
ちなみに主人公の名前も「尾田信長」、彼は見習い軍師として信長に仕えていますが、最後まで信長軍にいるのか、それともいくつかの軍を渡り歩くのか、そのあたりにも注目しています。だって、信長は天下を取らないからこそ信長だから!その辺りの描き方に原作者さんの考えが反映されていそうで楽しみです。
2つ目にご紹介するのは、これもまだ連載が始まったばかりの東京カンナビス特区です。カンナビスとは”大麻”のことで、家族と小さな花屋を営んでいる島耕作似の主人公・千東森生41歳。後に大麻王と呼ばれるらしい男の物語です。
海外ドラマに詳しい方であれば、ここまで聞いただけで「あー、Breaking Badね」と気づくと思いますが、今のところその路線を踏襲している感じです。森生は植物の声が聞こえる能力があって、肥料の配分から剪定に至るまで事細かに対応することが可能です。それが植物を育てる天才、植物バカと言われる所以でしょう。ちなみに、Breaking Badの主人公・ウォルトも化学領域の天才でとても純度の高い、つまり品質が良いクリスタルメスという違法薬物を製造していました。そして相棒にはジェシーピンクマン。ちなみに、森生にも加賀山という大学時代の友人の相棒がいます。「Breaking Bad」は道を踏み外すという意味がありますが、森生もウォルトも真面目一徹だった人生からどんどん道を踏み外していくわけですが、シーズン終盤に差し掛かっていく中で、ウォルトの異常さというか怖さというのに磨きがかかっていくのをみて、「同じ人間なのにこうも変わるものか」と感心した覚えがあります。あるタイミングで、もはや後戻りできないところまで来てしまうんです。例えば、殺人を犯してしまったり、殺人に加担してしまったり。それが、自分の身を守るための致し方ないことであったとしても、「もはや後戻りできない」となってしまう瞬間がでて来ます。東京カンナビス特区でも、警察やライバル組織、殺し屋などとの戦いが待っているはずだと思うので、とても楽しみにしてます。今時点では違法薬物である大麻をテーマにした内容が内容だけに、変なクレームとうに屈せず結末まで描き切ってもらうことを祈ります!
今回は2つの連載作品について紹介してみました。コミックゼノンに注目する理由として、現状は終末のワルキューレという大看板に似た新規連載がいくつかあるため、「なんだ二番煎じジャン」と言わせない展開に持って行って欲しいという期待がありつつ、カンナビス特区のような元ネタが明らかな作品も、強いオリジナリティで読者をグイグイ引っ張って行って欲しいなとずっと期待しています。
それではまた来週。みなさん良い漫画ライフをお過ごしください!