日仏デザイン論 ~ 海外で戦略的に生きる日本人たち
日仏デザイン論とは趣旨がずれてしまうかもしれませんが、今日はフランスで活躍する日本人について少し掘り下げてみたいと思います。
欧州の中でも特に自国愛が強いと言われているフランス。
パリを中心に、学校や仕事のために滞在しているアジア国籍居住者や、ボディはアジアのフランス育ち…といった人達も勿論沢山います。またここ数年続いている日本ブームもあり、日本食・文化のファンも多いため、多種多様な外国人の中でも比較的フランス人からの注目度は高い方だと思います。
そんな状況の中でも、日本人として「認知されるレベルのタレント性」をもち、一線で知名度をあげるのはかなり難しい、というのが私の所感です。
言葉の壁ももちろんありますが、フランス含む欧州からみたアジア人は全員似たり寄ったり。(もちろん日本から見た欧州人にも同じことが言えるので、逆もまたしかり。私もこちらに来るまでフランス人とドイツ人の見分けもつきませんでした。)
仮に何か特筆した技術があったとしても、日本という国籍をはずして「個人」のキャラクターとして一般に認知されるのはまた数段ハードルが高い。
そんな中で認知度を上げるには、冷静に自分自身を客観視し、「戦略的に自己をデザインできるかどうか」が重要になってきます。
フランスで認知度の高い日本人をいくつか例に挙げ、彼女彼らがどう自分自身をデザインしているのか、その戦略的思考をまとめていきたいと思います。
戦略的なビジュアルアイコン作り
先日パリ市街を歩いていると、あちらこちらでモデルの「AMIAYA」の広告を見かけました。
ピンクのおかっぱが印象的な彼女たち。
学生の頃から彼女たちのことが好きで注目していたのですが、正直昔は「お洒落な読モ双子モデル」というイメージで、グローバルに活躍することを想像していませんでした。(ファンの方、失礼な発言ですみません…)
※ 彼女たちのモデル経緯がまとまっている記事リンクです。参考までに↓
というのも、彼女たちは身長・体系的に海外モデルと比較して正直恵まれているとは言い難く、日本の外に出ていくにはかなり難しいだろうと思っていたからです。
上記記事の内容にもありますが、海外ファッションショーの悔しい経験をきっかけに、ここから『双子を生かした戦略的ビジュアル作り』が始まります。
「日本人だけど何者なのかわからない、宇宙人みたいと言われた」と書かれていましたが、髪から服やでティールに至るまで徹底的に双子のシンメトリーを追求することで、他にはない強いインパクトをつくり出しています。
髪を派手な色に染める・・・というのも一つの要素ですが、この2人が戦略的だなぁと思うところは日本人として海外で求められる日本文化のキッチュさ・ある意味の奇妙さを客観的に分析し、自分という媒体を使ってデザインしているところ。
そんな彼女たちは今となってはパリコレ最前列に呼ばれるモードの先端モデルです。
戦略的ビジュアル・・という意味では、今年日本人で初のフランスミシュラン三つ星を獲得した、Kei Kobayashi氏もその1人でしょう。
彼のレストラン「KEI」は、今や4か月前から予約が必須。身1つでフランスに乗り込み、今や取材に引っ張りだこのタレントシェフ、まさにドラマのグランメゾンのようですね。
Mr.サンデーの特集で見ましたが、有名シェフに顔を覚えてもらう為、あえて金髪&奇抜なファッションでフランスの田舎の有名レストランを訪れ、弟子入りを申し込んだようです。
もちろん彼がここまで有名になったのは正確かつ繊細な技術に違いありませんが、まだ駆け出しの名も知られていないころからビジュアルとしてのアイコンを確立し、戦略的に知名度を上げてきたんですね。
お店にも足を運んでみたい…と思いつつ、今やかなりのご褒美プライスのため、またいつかの機会に・・・
キャッチーなネーミング
ある日フランス人と話していた際のこと。
「 ....... Konmari.....」
最初は全く気に留めていなかったのですが、よくよく話を聞くとどうやら彼はロックダウン中にお家の大掃除をしたようです。
「大掃除‥‥Konmari....... ん??
それってコンマリさんのこと?!?」
と、気付くのにしばらく時間がかかってしまいました。
今や片付けコンサルタントの近藤麻理恵の名前よりも「KONMARI 」としてネットフリックス世界発信されたことで、アメリカを中心に爆発的に知名度があがった彼女。フランス語で「Konmariser(コンマリのように片づけをする)」という造語も生まれているほど、フランスでも非常に知名度が高いです。
日本の禅の意識を感じる/ 片付けのロジックがシンプル‥‥など素晴らしい点が沢山あげられる中で、わたし個人的に彼女の知名度を上げたのはネーミングも大きな要因の1つだと思っています。
日本人の名前は特にフランス語で読みづらいことも多いので、こういったキャッチャーな名前があると会話の中に登場しやすいですよね。
■ コンマリさんの話が出たので、余談ですが…
本の影響でよく言われる
「フランス人は10着しか服をもたない」
決してそんなことはなく男女問わず衣装持ちなフランス人はたくさんいます。一方、一度買ったらなかなか処分せずずっと使い続ける傾向があるのは本当です。祖母からもらったアクセサリーや、両親から譲ってもらった家具など、代々引き継いでいるアイテムを日常的に使っている人も多く、フランスの蚤の市にはそういった歴史を感じるアイテムをたくさん見ることができます。
そんなステラレネーゼが多いからこそ、フランスでもKONMARIメソッドが必要とされているのかもしれませんね。
それではまた。
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