建築学生1年間、都営住宅に学生入居してみた
4年の松本紗季です。
(と言いたいところですが、下書きを投稿せず修士1年になってました)
このnoteでは1年間のまとめとして都営住宅に学生入居として住んでみた感想まとめを書きたいと思います。(女子大生・建築学生として…)
今進んできている都営住宅学生入居。実際にしてみた者としての感想を書いて今後この活動・入居を考えている人のヒントになればと思います。
目次
¦01 どういうことをした1年だった?
¦02 自治会の大変さ、肌で社会問題を感じる
¦03 持続的なコミュニティを続けるために
01 どういうことをした1年だった?
私は2023年の3月に田無の都営住宅に学生入居しました。
学生入居とは
(都営住宅団地や地域の活力あるコミュニティの形成に資するよう、都内の大学と協定を結び、その大学の学生が都営住宅に居住して、団地の自治会が行う活動に協力するなど、都営住宅や地域のコミュニティ活動を支援する取組み)のことです。武蔵野大学は全国でも最初のほうに学生入居の募集を始め、入居した私も手探りの中何ができるのか考えながらの1年でした。
私が行ったのは、通常の都営住宅に住む方と同じように定期清掃や班長としての集金、に加え除草活動、月1回出る都営住宅内のお便りの作成、集金した自治会費の会計、自治会会議への参加・運営などです。
私は大学生他3人とともに入居しました。各々大学での学業の合間にできる自治会の活動を行っていたという感じです。
私が入居した団地も学生入居が初めてということで自治会の方と手探りで何ができるか考えて活動内容を考え、活動してきました。
自治会長は入居当初、団地に生える草刈に大学生が参加してほしいということを仰っていました。しかし、なかなか平日の昼間に大学生が参加することは難しく各々の得意を生かした活動に変わりました。(各自治会や団地で変わると思います)
例えば、私は都営住宅に月に1度発行するお便りのレイアウトなどを行いました。本来は文章から作成したいところでしたが時間的に厳しい部分もあり文章作成・印刷などは同じ自治会で活動していたお姉さんに助けていただきました…。
02 自治会の大変さ、肌で社会問題を感じる
都営住宅の管理・運営などをしている自治会。
ニュースを作っているとお悔やみも書くことがあります。
こないだ元気だった方が!ということもありますが、実際に住むことでこの団地から日本社会の課題を感じる、考えるきっかけになったと思います。
人はぞれぞれ事情を抱えて生活していて、困難があると思います。自分自身のこの大学生という時間はすごく有限で貴重。そしてたとえ奨学金でも大学に通え学べるということがありがたい、そんな風に何度も思いました。
学生入居に一緒にした学生の中には建築以外にも、薬学、福祉、経営等様々な分野の学生がいました。自治活動では住民のご高齢の方と話す他分野の学生を見てホスピタリティや人に寄り添えることの素晴らしさ、すごさを肌で実感しました。
話はそれましたが、都営住宅では除草や掃除、自治会の運営を住民自身が行っています。自治会は高齢化で継続することが難しくまた役員の人手不足が深刻で自治の維持が困難だと思いました。話し合いの場では生活を支える根幹としての都営住宅がどうあるべきか意見交換があり自治の難しさを本当に肌で実感しました。建築学生として安易にまちづくりやコミュニティの形成がこの建築でできるんだ、と書いたプレゼンボードを作ってきましたが現実はそうでないこともよくわかりました。これも含めて学びだと思います。
¦03 持続的なコミュニティを続けるために
入居した際印象に残っているエピソードは、自分のポストの中身を出さずに郵便物を貯めていたら、隣に住むおばあさんが心配して声をかけてくれたということです。東京に来て話しかけてもらえることはなかったのでとてもありがたい気持ちでしたし、こういう地域の見守りがすごく大事だと実感しました。
まとめとしては、学生入居の1年間は楽しく、そして人とのつながりも生まれ居心地がいい1年間でした。私は大学卒業のタイミングで退去しました(がもう少し住み続けたいほどです…)コミュニティの形成は難しく中から見るだけでも外から見るだけでもなく両側面から多角的に考えることが重要だと思います。また話し合いからシステムを作るということも大事なことのように感じます。今後もこのことについては考えていきたいテーマだと思います。
今回このような貴重な機会をいただけて参加でき、住まわせていたこと感謝しています。東京都や都営住宅の自治会の方にはたくさんの学びの機会をいただきました。私は、将来公共施設を作り沢山のひとの拠り所となる建築を作り社会に貢献していきたいと考えています。その際、この経験はとても生かされると思います。
(学生入居を検討している方はぜひ応募してみてください。また学生入居についての過去の記事もあるのでよければ読んでください)
最後は、団地の儚さ、美しさを感じた写真で締めます。