【本の紹介】『ハコブネ』
こちらの記事では村田沙耶香さんが書かれた『ハコブネ』という本の紹介します。
この本が出版されたのが2011年というから驚き。なぜ驚いてしまったかというと、2024年になってやっと議論が活発になってきた話題であるLGBTQ+やセクシャリティーがメインの小説だからです。
物語には、性行為が苦痛で男装することを思いつく19歳フリーターの里帆、肉体の自認をできずにいる知佳子、夜でも日焼け止めを欠かさず塗り老いに抗う椿、これら3人の女性が登場します。
里帆はいわゆる「ボーイッシュな女の子」です。アルバイト先の男性陣から男性のように扱われ、女性からも男性のように扱われることによって実は性対象は女性なのではないだろうかと疑問を持ち始め、葛藤する様子が描かれています。
知佳子は側から見るとすごく寛容な人に見えます。が、人生がおままごとのように思えたり生理が来てもあまり情動しなかったりと、浮世離れしている印象を受けます。
椿はよくいる「キャリアウーマン」のように感じました。が、夜でも日焼け止めを塗ったり、里帆の性自認に対して厳しい態度を取ったり、自分に厳しく相手にも厳しいという印象を受けました。
この3人が社会人が多く集う
自習室で出会い親交を深めていきます。
物語は3人の視点でそれぞれ描かれていきます。
特に印象的だったのは里帆の言葉です。
里帆は「大好きな人と性別を脱ぎたい」と思っており、現実的にはなかなか難しそうだなと思いました。
ザ女の子である芽衣ちゃんに対して性欲があるにも関わらず、いざそういう行為をしようとすると自分が女であるという認識が強くなって寒気がしているようでした。かと言って交際していた男性でも難しいようでした。
無性愛者でもなくレズでもなく、
これまでカテゴリーのない性別がいいのかなと思いました。むしろ、性別という括りをなくして、例えば、宇宙でいう「太陽」や「月」などの性別のない存在に出会いたいのかなとも思いました。それが人間であればこの上ない幸せですね。
各々が人と違う部分を抱えて生きており、
彼女たちなりにグラデーションはあれど
悩んでいるのだと思いました。
ちなみに、村田沙耶香さんの作品を知ってからまだ日が浅いですが、
特徴としては「潔癖症」「生の実感が持てない」「当たり前を疑う」といったことが挙げられると思いました。
いままでに『コンビニ人間』『殺人出産』『授乳』『変半身』『地球星人』を読んでそう思いました。
皆さんもぜひ読んでみて感想聞かせてください!
最後までお読みいただきありがとうございました🌈