カノンの二次創作MV作ってみた制作秘話【PVSF2022Sp】
どうも、映像オタクのおたこです。
先日、PVSF2022Spという映像投稿イベントに参加した際、柊マグネタイトさんの”カノン”という楽曲で二次創作MVを作りました。
作っている時に色々考えることがあったので、
小ネタや制作秘話をあとから思い出せるように書いておきます。
自作解説は初めてなもので、不慣れですがよろしくお願いします。
オタクの妄想垂れ流しです
1. ストーリーを考えよう!
※自己解釈、捏造滅茶苦茶あります苦手な方気を付けて
自分は普段、歌詞の意味を考えずリズムに合わせて文字がグルグルカシャカシャしている映像を作ることが多いです。それについては別にいいのですが、中学生生活最後の映像として、今まで通りではなく新しいことに挑戦したいという気持ちがありました。そのため、この作品では歌詞の意味を解釈し、ストーリー性のある映像にしようと決めていました。
まずやったのはストーリーを作る為に歌詞を読むことでした。
長いので結論だけ見てください
↓柊マグネタイト様の素晴らしい原曲です
毀れた天秤の感覚系 或世界で
末 結果 異例 EVENT
絶つ生態系 CRACK!
「——何も無かった」
この歌詞から、感覚系のバランスが崩れたこと、
なんらかのEVENT=出来事によって或世界に異例な結果が起こり、生態系が断たれたことがわかります。「何も無かった」と主人公のモノローグが入っているので主人公の属する人間の生態系が終わったことがわかります→人類が属する文明社会の滅亡
crackというのは、亀裂が入るという意味があるので、EVENTで世界の認知や感覚系に亀裂が入ったということでしょう。もしくは、笑い裂けるという意味もあるので、世界中に人類たちによる驕った文明が蔓延した結果、耐えられなくなった世界が人間達に付けられた意味=認知の分だけ膨らみ、亀裂が生じたということかも。いずれにせよ、世界線に亀裂が入り、人間にとっての世界滅亡が行われたのは間違いないはずです。
くだんねーや 歪んだ執着と
囲い合いみたいな有象無象
主人公のモノローグから、主人公のくだらないと思いつつも、何かに歪むほど執着してしまう様子が想像できます。では何に執着しているのか?
葛藤 嫌々嫌々 そう置いてった
走らない逃亡者
葛藤しています。くだらないと思っているということから結果が分かっていることに対して挑んでいるのかなと思いました。つまり、文明社会の滅亡は予期されていて主人公はそれを止めようとしているという構図が想像出来ました。
走らない逃亡者は、滅亡から逃れようとする世の中の人々。みんな滅亡から逃れようと逃げているが、顔色を伺ったり内心では信じていない体裁が悪いので、表沙汰に走って逃げることはせず、密かに逃げようとしており、主人公は世界を救おうとしているにも関わらず薄情な人々に置いていかれそうになっているという構図を思いつきました。
描いた痛覚と仮想体
寝返った九官鳥
殺到 苛々苛々 暴走計器
「唖々、嫌だ!」
描いた痛覚はEVENTによって引き起こされる痛みを描いた物があるということ→EVENTは過去にも起こっており、文献に残っている可能性があります。
仮想体は肉体の代わりになって動く体のことなので、何者かが仮の肉体を操ろうとしています→これが上位存在で、この世界線に干渉しようと仮想体を用いて顕現しようとしており、その結果EVENTが起こったのではないかと思いました。過去の文献に残っているとしたら、EVENTの発生を予想できたのも説明がつきます。
九官鳥は言ったことを繰り返す鳥なので、言ったことを繰り返すことしかできない人ですら寝返ったということかも。主人公のイラストは白衣なので主人公は研究者、この歌詞はその助手を表しているのかもしれません。
世界を救う研究をする主人公の元に助けを求める手紙や責任を求める手紙が殺到します。人は誰かに責任転嫁する本能がありがちなので、そうではないかなと考えました。そうだとすると、主人公はこの時点で果てない研究と烏合の衆の声に辟易して、相当追い詰められています。そういった妄想がありました。
また繰り返していく!
壊した均衡の三角形 忘れないで!
また繰り返していく!という言葉からは、人間のいきすぎた文明が上位存在に壊される歴史は何度も繰り返している、EVENTが起こることによって時間が戻り主人公はEVENTを止めるために何度もEVENTを繰り返しているという2つが考えられました。カノンというのが、ある部分の旋律を他の部分が模倣しながら進んでいくというクラシックの方式なので、厳密には主人公はEVENTを繰り返しているわけではなく、複数の世界線でEVENTが起きる運命で、主人公は世界線を渡り歩きつつEVENTを止めて世界線を救おうとしているということなのかもしれません。
生態系と前歌詞にあるで、バランスの三角形は勿論食物連鎖のピラミッドのことだと思います。食物連鎖のピラミッドが壊れるということは、本来最も上位だったはずの人間が上位ではなくなり、その上に上位存在が立つようになるということでしょうか。
忘れないでとあるので、人間が今まで生態系を壊してきたことを忘れないで、これはそれと同じことに過ぎないということかもしれません。
罰 劣化 畏敬 INVENT!
「——唖々、失った」
絡まり戻っていく
罰→神に近づき驕った人間の罪へのもの→EVENT
EVENTの目的自体が人間のいきすぎた
文明のリセットなのかもしれない
劣化→人間の文明が劣化していく
畏敬→文明社会を太古から何度も滅亡させてきた神=上位存在への畏敬の念
失った→遂にEVENTが起こり、生態系が壊れていく絡まり戻っていく→失敗した世界線と因果が絡まりながら元に戻っていくという表現かも
——もういいよ。
この言葉は、世界の終わりに、投げやりになったような主人公の言葉なのではないかなと思いました。
マジで長くなっちゃった まとめ
ストーリーまとめ
・奢り過ぎた人間への罰として、上位存在の介入(EVENT)による世界が滅亡が予期される世界線で、主人公は滅亡を止めようとEVENTまでの期間を繰り返している
・主人公が過去のEVENT文献を探るも、失敗し、世界が滅亡するまでの1ケ月間をMVの舞台にする
ストーリー表現のためのテーマ
・1ヶ月間の時間経過
・EVENTによる世界滅亡の絶望感
・主人公の心情の表現
このような妄想を受験勉強中にコツコツ膨らませていました。勉強ばかりしていたので、マジで映像を作りて〜という気持ちでした。その間にスケッチブックに作りたいシーンや3Dの構成を描いています。
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最近読んでいる『アド・バード』という小説に影響を受けて、配線がいっぱいあり、地球儀やパイプがあるごちゃごちゃしたパンクな雰囲気です。研究のための資料などが山積みです。窓がたくさんあり、割と光が入ってきます。イメージを書き終え、遂に制作です。
2. 制作背景など
高校受験が終わり、ずっと作っていなかった映像を作れると高ぶっていたのがあって、様々新しいことに挑戦しています。
・全編3DCG
・ストーリー性のある映像←New!
・絵コンテを基に構成を考える
・一つのセットで完結する映画風の映像←New!
ちなみに、受験が終わってからの制作だったので、PVSFの参加締め切りまでこの時点での本格的な制作期間は2週間弱でした。(実際は3週間程度あったが、この時点では2週間弱だと思っていた)
僕は普段1分半の映像を1か月程度で作ります。
うそだろ............
これだけ凝ったことをやりたいのに、
時間が全然足りない!!!!!!
この時点でもう顔面蒼白でした。はやく3DCGのモデリング(型取り)をしなくてはいけません。
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これが今回使用したモデルです。
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モデリングの小ネタ1 雰囲気作り
まるで人が本当に生活しているような雰囲気を出すために、本や段ボールなど機械によってランダムに置くのではなく、全て手作業で配置しています。
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この本を読むものとも思わないような斬新な収納方法によって、架空の登場人物の暮らしぶりを真に迫って表現しています。(参考: 自室
モデリングの小ネタ2 世界観
ちょっとした小ネタで壁には研究資料や新聞をマウスで一生懸命書いてて、沢山掲示しています。EVENTの恐ろしさや、滅亡に慌てる人々の様子を描いています。ほとんど本編では目立ちませんが、ちょっとしたお気に入りポイントです。結構描きました。
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幼稚なイラストですが、結構お気に入りです
モデリングの小ネタ3 時間経過の表現
1ヶ月間の時間経過がテーマのひとつだったので、時計の回転やカレンダーのバツマークによって時間経過を表現しています。
よりみち
これは小ネタというより気に入っている点なのですが、ごちゃごちゃした世界観を表現するためにヘッドフォンや研究資料の横に古風なアンティークの机があるなど、チグハグな要素を入れています。
これだけ色々工夫をやっていたため、全然時間が足りなくなってしまいました。僕のPCはcore i3のノートなので3DCGにはスペックがあまり足りていません。なるべく3Dの書き出し時間を減らしたい.......
そのため、3Dのカットを減らすために色々な工夫をやっています。
モデリングの解説 省エネ映像のために
シーンを複数モデリングしている時間がないので、舞台のように一つのセットの上で展開していく形式の作品にしました。
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また、シーン数をなるべく減らすために、サビ以外の3Dはほとんど静止画です。しかし静止画ではあまりにも退屈なので、動く部分は別に分離させて動かしています。換気扇や時計、カレンダーの部分は独立しており、AviUtlで後から合成しました。動く部分を含めて書き出さなくていい点で、時間をかなり節約できた気がしています。
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モデリングだけで1週間を費やし、残り時間は既に4日しかありません。時間が足りなかったので、サビからの部分は構成以外2日で完成させています。ひたすらモデリングの設定をして、PCで書き出しをやっている間はずっとブレワイをやる生活をしていました。1kgくらい痩せて、腰を痛めました。思い入れのある作品だったので、完成してよかったです。
3.シーンの小ネタ、込めた意味など
シーンの細かいところを解説していきます。
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EVENTが繰り返している設定なので後半サビと時系列は同じで、ここから時が戻っていくというストーリーになっています。
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黒い人影は仮想体を持って世界に顕現した上位存在を表現しています
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世界の有象無象も上位存在によって囲われているだけに過ぎない小さいものだという表現
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このシーン、壁の資料を少しずつ増やしています。
研究が進むにつれ、飲む酒の量が増えていくという表現で主人公の葛藤や憂鬱な気持ちを表現しています。 作品の中でも好きな所です。
後述なんですが、ここのシーン、無意識のうちにナノンさんの不毛!を完全にトレパクしてしまっていました、、、、、、、、本当に申し訳ございませんでした、、、、、、、、、、僕を好きなだけ叩いてください、、、、、、、、、
最高なナノンさんの不毛!です パクってしまいました
https://www.youtube.com/watch?v=ZU2sKELRFb4
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そのあとの崩れる演出で上手くいかない状況を表現しています
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ここ突っ込みポイント いや走っとるやないかい!!(笑)
…..
カレンダーの×を強調して、過ぎた月日を強調する試みがある
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ちょっとした違和感があって面白いので試したシーン
この痛覚の下、よく見ると手書きで痛覚と書いてあります。
ラフの段階では手書き文字単体でしたが、
字が下手でダサすぎたので止めました
背景の青空を強調するために、青空の色だけAviUtlで透過して、前景をモノクロに加工後、後から空の色を重ねています。
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今見るとあんまり変わらないような気も…..
室内の小物にも割と小ネタがあります
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人間の肉体を用いて上位存在が顕現してくるのでその伏線です
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風見鶏は九官鳥ではないが、風向きに合わせてすぐ向きを変えることから、
顔色をうかがう裏切者の揶揄によく使われる
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いよいよ世界滅亡の日が近づき、破滅に対する新聞記事が増えて、
研究中の主人公が焦り、苛々してるという表現です。
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この目は上位存在の目を表現しています。
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閉鎖的だった室内の窓が開き、破壊される街が見えるシーン。
恐ろしくも美しい絵作りを目指しました。上位存在の表現が目なのは、
普段自分たちが目で見ている世界から、
巨大な目で逆に見返されたら不気味だなという着想が元になっています。
徐々に目がこちらを見るようにして、恐怖感をさらに出しています。
あ、これ両手とも左手の男になってますね ころしてくれ
原曲の色が黄色なのにサビまで空の色は青なのは、サビでの黄色をより引き立てる目論見があります。黄色はこの二次創作では滅亡の象徴。反対色は青なので、ギリギリまで青を使うことで、対比効果を狙いました。
実はこの目は平面に画像を張ってるだけなので
横から見ないとペラペラです
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前シーンから引き続きフラスコが落下していき、壊れます。
ここ突っ込みポイント 均衡の三角形じゃなくて硝子の三角形が壊れている
歌詞を組み合わせたちょっとの言葉遊びです ゆるしてくれ
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これは二つの3DCGを重ねています。キネポの部分だけシーンで作って、
上のオブジェクトでクリッピングで切り抜きました
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顔が隠れてるのは目や鼻、口をパーツに分けて世界中を認識しているから さっきの目はその一部
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途中に出てきた手や骸骨は、自分の持っているものを原色で印刷したコピー用紙の上に載せるグリーンバック(手動)で撮りました
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全然モデリングしていません ごめんなさい、、、、鳥も素材ですhttps://pixabay.com/ja/videos/%E9%B3%A9-%E9%B3%A5-%E7%BF%BC-%E9%A3%9B%E8%A1%8C-%E5%8B%95%E7%89%
4.感想など
解説、備忘録は以上です。これだけの要素を詰め込み、
2週間という短時間で完成させられるとは思っていませんでした。
完成できてよかった。大好きな曲で作れたのもよかったです。
かなり思い入れの強い大切な作品になりました。
見てくださいまして、ありがとうございました。
少しでも記憶に残れば幸いです。
おわり
おまけ
PVSFの投稿締め切りを4日ほど前に間違えていて、
血反吐吐きながら20に完成させたのに、結局あと4日ありました。
僕の努力はいったいなんだったんだ 間に合ったのは良かったけど
ちょっと、なきました オン泣