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食べ物らしからぬデザイン│ポカリスエット│カロリーメイト

お店に並ぶペットボトルやお菓子のデザインを見るのが好きです。Pinterestでも変わったパッケージを追いかけていると時間が過ぎていきます。
では1番好きなのは?と問われれば、私は「ポカリスエット」にたどり着きます。

青=マズそう

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いまでこそ、スポーツドリンクや清涼飲料水で「青色」のデザインは珍しくありませんが、発売された時は不人気でした。色彩学的に青色は、食欲減退効果がありますので、「おいしそう」と感じてもらえなかったのです。売上は伸び悩んでいました。
スポーツの前後、暑い日、風邪の時など汗をかいた時に飲みやすく、失われた水分/電解質補給に最適というコンセプトを踏まえ、そういった人たちへの無料配布等をした結果、徐々に受け入れられるようになりました。

黄色=ヤバそう

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カロリーメイトの経緯も似ています。お菓子としては、チョコやフルーツといった華があるわけではなく、パッケージも装飾的要素はほとんどありません。「黄色」は危険信号の色ですから、「コレ食べ物?」という反応が一般的でした。
状況が変わったのは、スポーツや体重管理をする人たちが、カロリーコントロールしやすい一本100kcalという点を評価したためです。

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ちなみに同じ大塚製薬のSOYJOYも超好きで、一時期めっちゃ食べてましたが、1番好きだった「カカオオレンジ」「サンザシ」がなくなっちゃってションボリしてます。復活して欲しい!

デザイナーたち

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実はこの2つ、パッケージのデザインは同じデザイナー「細谷巌」が手掛けたものです。

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タイポグラフィは別の方で、ポカリは「ヘルムート・シュミット」、カロリーメイトは「深野匡」。

タイポグラフィへのこだわり

一見すると、ただ文字を並べただけ…のように見えますが、実はそうではありません。似たようなフォントを打ち込んでも、意外と再現できないことがお解り頂けると思います。文字の大きさ・バランス・配置は絶妙に調整されています。カロリーメイトなんてCとMはかなり癖のある文字ですし、ポカリも特徴的なWはかなり横広がりになっています。
以下の画像は私が昔「ION WATER」のフォントを分析したものですが、これを機にフォント・タイポへの意識が高まったのを覚えています。

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平面的な塗りつぶしの印刷パッケージは、棚に陳列すると統一感が出て一際目立ちます。実は遠い所からでも視認されやすい、という特徴もあります。

シンプルなようで、シンプルではなかった

シンプルなデザインが、どう美しいと感じるのかは、意外と難しいことなんだと思います。だって本当にシンプルなのは、ただ文字を並べただけのもののはずです。でも、分析するとクセの強いこれらのロゴは、それほど違和感なく見られる。これってなぜなんでしょう…文字という先入観、色の制限、余白、マージン、要因は色々なのでしょうけれど、このバランスをゼロから構築しろと言われると、たしかに難しいなぁと感じます。

ポカリやカロリーメイトは当初、プロダクトとしては非常に困難な道を歩いてきました。大塚製薬は飲食品に対しても、製薬会社ならではのコンセプトと、それに沿ったパッケージデザインを展開していく姿勢がとても素敵です!

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