デザイナーが知っておきたい著作権のアレコレ
ゆめみのBrandingチームでデザイナーをしているasakoです。ゆめみは今年の初めに21歳を迎え、ロゴデザインをリニューアルしました。ロゴ開発ストーリーなどではあまり触れることは少ないのですが、コーポレートのロゴになるということで、プロセスとして、「商標調査・登録」を行いました。
私は元々、契約書類関係や、法律周りのことがすごく苦手で、今まで避けられる限り避けて避けて避けまくってきたのですが...
ゆめみの成長因子でもある「学び合う場」を実践するためにも、この機に知識を身につけようと想い、(主にグラフィック)デザイナーが知っておくべき著作権周りについて、基本の「本」あたりをまとめようと思います💪
基本の「基」
そもそも著作権って?というあたりについては、下記サイトがわかりやすくまとまっていますので、ご参照ください🙇♀️
混乱しがちな「知的財産権」の中身
デザイナー業務周辺でよく出てくる「著作権」「商標権」「意匠権」...これらは、すべて「知的財産権」の中で細分化されている権利で、それぞれを守るための法律が規定されています。下記図は代表的なもので、中でも白塗り枠は関わりが深い法律です。
著作権と意匠権
ざっと違いをまとめてみました。あくまで現段階の情報で、これも法規定が変わることもあります。
工業系のプロダクトデザインは「意匠権」扱いなのに対し、グラフィックデザインは主に「著作権」で守られることが多いです。
グラフィックは応用美術の範囲と認められることが多く、ID系のプロダクトは「量産」前提で産業上のものとなるようです。ただし途中段階のスケッチは思想の発想という括りなので、著作権の保護範囲になります。
また、「偶然の一致」の場合の考え方も異なります。
「著作権」は他人の作った著作物と、見た目や発想のポイントが類似していたとしても、それが偶然の場合は、著作権侵害には当たりません。一方、「意匠権」(または「商標権」)は、登録することで権利が発生するため、登録したタイミングが早いものが有効となり、例え偶然の一致でも類似していると思われるものは使用することができません。
ロゴ・アイコンなどのマークを登録する「商標権」
「商標権」も「意匠権」と同じく「産業財産権」なので考え方は近いのですが、グラフィックデザイナーの成果物でもある「コーポレートロゴ」「サービスロゴ」など事業者が使う「マーク」は、登録することで「商標」の対象になります。
「商標」は、「マーク」+「使用する製品・サービス」のセットで登録されるため、同じマークでも、事業の種別ごとに東麓する必要があります。(登録種別ごとに登録料が加算されます💸)
⚠️注意したいのは、「意匠」と同様に先着順で権利が発生するため、クライアントワークでロゴを制作する場合、既に近いロゴが登録されていないかの調査が必要です。クライアントと同様、制作依頼されたデザイナーもその義務を負う可能性があるため、事前に調査・登録についての助言や、役割範囲に関しては契約書面に記すなどしておく必要があります。
「誰か」と「私」の著作権の行方
会社員として企業内事業のために制作したもの
特段就業規定などに記載がない限り、ほとんど全て著作権は会社帰属のものとなります。
個々人でチームを組んで制作したもの
チームのメンバーの共同著作物になります。ただし、著作範囲が分離されている場合(例:歌の歌詞と曲など)はそれぞれに対して発生し、著作物に対し創作的な寄与をした人にだけ有効になります。誰かの指示をそのまま作業した人や、アイデア原案を出した人は対象外になるようです。全員が同じ会社の社員として働いている場合は、会社の著作物になります。
クライアントワークでの制作の場合
著作権の帰属に関しては、書面で取り決めをすることが必要です。著作権自体をクライアントに渡す場合のデザイン料金はその分高くなりますし、著作権を譲渡しない場合は、利用範囲や期間などの条件を合わせて提示しておく必要があります。(一般的には特に書面を交わしていなければ、クライアント事業のための著作物としてクライアント帰属になることが多い気がします)
著作物の範囲・帰属に関して強い意志がある場合は、あとでモメないように、書面をちゃんと事前に取り交わしておきましょう!ということみたいです🙆♀️
他人の著作物を利用する場合
著作物は「引用」という形であれば、一定条件下で著作権者に承諾をとらずとも利用が可能です。
引用の基本条件
1. 他人の著作物を引用する必然性があること
2. 自分の著作物が主で、引用する他人の著作物が従であること(量ではなく内容として)
3. 必要最小限の範囲内で部分的に引用すること
グラフィックデザイナーは、アートディレクターやプロデューサーとして他人の著作物を取り込んだデザインを行うこともあるため、自分の著作物を守るためだけでなく、他の著作権者の権利を守るための理解も大切です。
👇 利用前の確認TODO
Step1. 著作権の保護期間内かどうか
- 保護期間外の場合:公有物という扱いになり、自由利用が可能です
- 保護期間内の著作物の場合:Step2へ⏬
Step2. 例外的に許諾なしで使える著作物かどうか
- 「私的利用を目的とした複製」や、「引用」、「非営利目的の利用」など、一部許諾なしで使える場合があります
- 許諾を得ないと使えない条件の場合:Step3へ⏬
Step3.著作権者を確認し、許諾を取る
- 著作者が生存し、かつ著作権を移転していない場合:著作者が窓口
- 著作者が生存し、著作権を第三者に移転している場合:移転を受けたもの(=著作権者)が窓口
- 管理をエージェントに任せている場合:エージェントが窓口
- 著作者が死亡している場合:著作権の相続人が窓口
許諾が得られなかった場合は利用できません。
著作権者が確認できなかった場合は、文化庁長官の裁定を受け、利用料に相当する補償金を払った上での利用になるそうです。
今回JAGDAが発行してくれている書籍を参考にインプットを始めてみたのですが、発行からの数年で保護期間が変わったりしているので、最新の情報は、「著作権」は文化庁HP、「意匠権」「商標」などは、特許庁HPで最新を確認してください🙌(昨今のNFTの登場によって、新たに著作権界隈の動きも出そうですので要注意です)
デザイナーの一人として、自分のクリエイションを守りつつ、他のみなさんのクリエイションも守っていけるようにしたいです🙌
📚参考書籍
おまけ)YUMEMIのロゴリニューアルまでの道のりはこちらから🙆♀️