第3回では踏み込んだ議論に〜総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」

Introduction
総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」について第1回第2回のレポートを寄稿してくれた岩井義和氏が第3回の議事もまとめてくれた。かなり踏み込んだ議論が行われたことがよくわかり、読んでいて動悸が高まった。悠長だった以前の「諸課題検討会」とはずいぶん違って「議論」になっている。そんな様子がよく伝わる貴重な第一次資料と言えるのでぜひ読んでもらえればと思う。

書き手:岩井義和 yoshikazu.iwai@gmail.com
 (略歴:東京ニュース通信社⇒アクトビラ⇒TVision Insights⇒J:COM⇒IIJ )

12月15日、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の第3回が開催された。本検討会の飯塚構成員より、欧米における放送の「ハード・ソフト分離」、「クラウドマスタ導入」、「放送のBB網活用」の事例が紹介されたほか、放送諸課題検討会の多賀谷座長と宍戸構成員へのヒアリングとして、各位より、放送の将来についての提言がなされた。
お二人の主なご主張は以下の通りだが、宍戸先生の地に足の着いた具体的な提言は、私のサマリーだけでなく、ヒアリング時のご発言も、今回、書き起こしているので、ぜひ資料と照らしながらお読みいただければと思う。

多賀谷一照教授プレゼンの主な内容 
・放送における、「ハード(基幹放送"局"提供事業者)・ソフト(基幹放送事業者)一致体制」の維持が困難となってきた。その要因は、ターゲティング広告やOTTの台頭による、テレビ広告離れ、テレビ視聴離れによる
・NHKの維持には、公共放送として必要な番組のみを提供する分社化を行い、全世帯が義務的に受信料を支払うような、体制および制度の変更が必要

 宍戸常寿教授プレゼンの主な内容 
・放送は、同時・同報の信頼される基幹的メディアとして、民主主義社会における最終的な意思決定の審級である公衆を安定持続的に形成する、公教育と似た機能を持っており、社会インフラとして、ひとつの統合的なパッケージとしての「放送」への期待はなお多い
・地上波・衛星2波の総合受信料制度へ移行すべき。また、当該3波の同時配信を「放送補完」ではなく「本来業務」とすべき。加えて、デジタル情報空間における基本的情報の供給をユニバーサルサービスとすることを日本の法制度上明確化し、NHKにその責任を負わせることが必要
・放送インフラのBB代替について、有線BBの基礎的電気通信役務化が検討されているが、その品質基準等を見ても、単に、有線BBがユニバ化された上に、放送のあまねく義務を乗っければよい、ということではなく、追加的な対応や追加的なコストの負担の問題は当然発生すると考える

 デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(第3回)
日時:令和3年12月15日(月)14:00~16:10
資料:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/digital_hososeido/02ryutsu07_04000291.html

 以下、議事録

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