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JR東海は住民対応も工事もヘタクソかもしれない
自宅の真下をリニア新幹線のトンネルが通ることに気づき、工事の不安を書いた記事を「リニア新幹線工事への不安を書きつづる」というマガジンにまとめました。このマガジンをフォローしてもらうと、記事の更新がメールで届きます。
住民の理解を得るのも工事の"技術"
12月に「調査掘進での確認結果に関する説明会」に2回参加し、安心するどころかすっかり不安になった私は、ある専門家に聞いてみました。某インフラ企業で工事を何度も経験してきた人物です。トンネルもたくさん掘っています。その方を、Aさんとしましょう。
Aさんに説明会の様子とJR東海の態度などを伝えました。
それを聞いたAさんがまず言ったのはこんなことです。
「住民の理解を得るのも、こういう工事に必要な"技術"なんですけどねえ。」
なるほど!私も、JR東海の人たちは説明会の進め方が上手じゃないなあと感じたわけですが、住民対応も「技術」との言い方に、さすがプロと感じました。
「普通は、まず町内会長さんにアプローチして信頼関係を築いた上で説明会を開くものですけどねえ」とおっしゃる。
「大田区など自治体の人もなしの説明会だったんですか?それもおかしいなあ」
間に入ってくれるような立場の人は町内会長も大田区の人も誰もなく、工事する側と住民側しかいない説明会だったわけです。対立するに決まってる。説明会のやり方として未熟。理解しあう空気になるはずがありません。
JR東海の「住民理解の技術」がなさすぎ、という指摘は説得力があります。「まあまあ、互いによく話しあいましょう」と言ってくれる立場の人はいなくて、一方的に説明し、質問も厳しくルールを設け、不都合をまったく排除しようという姿勢。気持ちを逆なでするに決まってるやり方をなぜしてしまうのか。「技術」がないからですね。わかりやすい。
外環道の工事は下手、陥没の前にわかるはず
外環道工事についても聞いてみました。当然、Aさんも知っていたわけで・・・
「あれは下手ですねえ。あんなこと起こしちゃいけません。」
さすがプロ。「下手」とばっさり!
「途中でわかるはずなんですよ。掘った土を取り込んで外に出すのですが、あらかじめ量を計算するんです。異変が起きる前に絶対土の量がおかしかったはずです。その時点で止めなきゃいけなかった。」
外環道の工事はJRではなくNEXCOです。プロから見ると止められた陥没だったかもしれない。立ち退かざるを得なかった調布市のみなさんが聞いたら泣きそうになる話じゃないでしょうか。NEXCOの責任は大きい!陥没についての民事的責任は問われたのでしょうか。土の量がおかしいと思った時点でなぜ止めなかったのか、という訴訟にすべき話ではないかと思います。
そして説明会でよくわからなかった部分が、そういうことかとわかりました。
資料のP28からP33まで長々と「参考:東京外環道の地表面の陥没事故について」から始まり「泥土管理」について説明していました。
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「ちょっと何言ってるかわからない」感じだったのですが、外環道の陥没は土量管理に問題があったから、そこは気をつけます!と言っていたのでしょう。もっとわかるように説明しろよ!Aさんがいてくれたら「ここの部分はですね・・・」とわかりやすく解説してもらえたんだろうなあ。
そもそもJR東海はトンネル工事の経験が薄い
そして12月21日の説明会で一番気になったこと、半年の予定で始まった調査掘進が3年もかかったことについても聞きました。
「それも下手ですねえ。まあ、そもそもJR東海さんは工事の経験がほとんどないですから。」
ええー!驚きましたが、言われてみるとそうなんです。国鉄時代に東海道新幹線ができて87年に民営化しJR東海ができたわけですが、それ以降の新幹線工事はほとんどJR東日本やJR九州。JR東海は大きな工事は必要がなく、ドル箱の東海道新幹線を維持整備はしてきたでしょうけど、工事の経験なんかないわけですよ。
だからこそ「住民に説明する"技術"」もないし、トンネル工事だって経験がない。実はJR東海もおそるおそる工事をし、おそるおそる説明会を開いているのでしょう。だから撮影を遠慮するように言ったり、質問を厳しく管理しようとした。彼らもびくびくしながら事を進めているのかもしれません。
「でも工事は大手ゼネコンに外注してるでしょう。複数の会社で受けてるはずですが、説明会にゼネコンは出てきませんでした?」
説明会には、JR東海の人たちとは別に「工事共同企業体」とあり、口頭で「工事共同企業体のなにがしです」と名乗りました(名前はメモってあります)が、具体的な会社名は資料にもないし当日も名前は出しませんでした。
「そうですか。おかしいなあ。普通は○○建設のように中心になって工事を請け負ってる会社が名乗るものですけどねえ」
この点も、「おそるおそる」の姿勢がにじんでいるのでしょう。何かあった時に会社名が出るのを避けるためかもしれません。そこがまた不信感を膨らませるなあ。
地域の行政や政治家にアプローチするといい?
今後どうしたいのかと聞くので、工事そのものに大きな疑問を持つがこの段階で止めるのは難しいだろう、もしもの時の補償を前もって約束させたいと言いました。
「わかりますけど、JR東海は上から目線の人たちだから難しいでしょうねえ」
やっぱり基本姿勢が「上から」なのですね。外の企業からもそう見えていたのが面白い。
なんとか行政や政治家に訴えて力をもらえないかと考えている、どのレベルがいいと思うかと意見を聞いてみました。
「うーんどうでしょうねえ。もう前から決まってることですからねえ。でももしもの補償ということなら、地域行政や地域の政治家が具体的でいいかもしれません。区議会議員さんとかね。」
なるほど!外環道の道路陥没のようなことが起きたらどうするか、一緒に動いてもらえるのは区議会議員さんかもしれない!
さあ、今年は動き出すぞ!区議会議員、あるいは大田区。世田谷区と品川区も関係しますね!
私はさっそく、ある区議会議員さんにコンタクトしています。でももし、これを読んでいる関係する住民の皆さんで議員さんにコネがある方、ご連絡ください。(先に書いておきますと、野党より与党がいいと考えています。行政を動かす力が必要ですから)
sakai@oszero.jp
そしてこの問題に何らか住民同士で連帯する必要があるかもしれません。そのための仕組みを考えようと思います。たとえば区議会議員さんにもし動いてもらうことができたら、こんなにたくさんの住民が不安を感じています、というリストが必要になる可能性があります。外に漏れない形で名前を寄せてもらう仕組みを企画するつもりです。
私は、私の家と家族を守らねばならない。最悪の事態を防ぐために、できることをやってみますよ!