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フジテレビに怒るべきは、フジテレビだ


社長会見を伝えるフジの報道番組から漏れた「怒り」

1月17日(金)の港浩一社長の会見で、「中居正広問題」は「フジテレビ問題」に一気に移行した。問題を収める目的で開かれたはずの会見が、事態を悪くした。大手スポンサーが続々CMを差し替えると伝えられ、あっという間に大問題に発展した。第三者による調査を行うと発表したが、どんな調査結果になろうと港社長の責任が問われるだろう。自ら問題を大きくしたことは、辞任でも済まないのではないか。
スポンサーを筆頭に世間全体が怒っているわけだが、もっとも怒るべきはフジテレビの現場の人びとだろう。

15時から100分以上の会見となったそうだが、その直後の夕方の情報番組「イット!」では17時52分から18時09分まで15分間以上を使って社長会見の様子を伝えた。キャスターの青井実氏とコメンテーター橋下徹氏とともに、社員である宮司愛海アナウンサーが、会見の内容を静止画と発言のテキストで詳しく報じていた。

このように静止画とテキストで会見を伝えた。テレビ局が自社の会見を映像を使わずに伝えるのは前代未聞だ(著作権に配慮しぼかしをかけています)

自社の社長会見を広報的に伝えていると言うより、他社の会見と同じように客観的に伝えていた。それは、自分の会社なのに無責任、という姿勢ではなくむしろ、自分の会社でも批判すべき点は批判する、という姿勢に映った。会見の一言一言をテキストで表示し、橋下氏が解説する構成だった。
最後に青井氏が宮司アナに「フジテレビの社員としてもいろんな思いがあるわけですよね」と振った。
宮司アナは落ち着いた表情で以下のように述べた。
「この一連の問題の根本に一体何があったのかを、しっかりと第三者の目を入れて調べてもらう、そして会社が生まれ変わる1歩にするべきだという風に私は感じています。それがやはり信じてくださっていた視聴者の皆様に対するあるべき姿勢だとも思います。
それから、一連の報道をめぐって、意図しない目を向けられて傷ついている仲間が多くいます。とても辛くて、自分たちで説明もできないといった、とてももどかしい状況に置かれています。今回の会見は社員を含めて全面的に公開はされませんでしたけれども、会社に対しては調査はもちろんですけれども、社員に対する説明もしっかりと真摯に行って、それを真摯に公表してほしいと思います。」
勝手な思い込みかもしれないが、何度か言葉を止める瞬間が、わずかにあった。詰まりそうになるのを懸命に押しとどめていたように思えた。
怒っていたのではないか。そして、「イット!」という番組全体がきわめて冷静に会見を伝えることで怒りを示しているように思えた。記者会以外のメディアを締め出し、テレビ局のカメラも拒むとは。報道機関としてあるまじき会見に、報道情報部門の現場が怒っていたのではないか。私にはそう思えた。そしてかなり異例のことだと思うが、怒って当然とも感じた。
その後、日曜夜の「Mrサンデー」でも月曜朝の「めざまし8」でも冷静だが怒りを感じるトーンでこってり社長会見を伝えた。
怒っている。それはそうだ。自社のトラブルについてテレビ局がテレビカメラを排除したのだ。もう取材できなくなるじゃないか!現場ではそう感じているに違いない。今後他社の会見に、フジテレビだけ排除されても仕方ない。こんなに情けないことはないだろう。

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