12月19日、勉強会リアル開催!2024年10大ニュースの集い
12月19日に、今年最後のリアル勉強会を開催する。詳細は記事の最後に。会員ならどなたでも参加できるので、掲示板に参加する旨を記入してください。配信もあり。
追記:簡単な忘年会も兼ねていて、ちょっとした軽食と飲み物も用意します。ケータリングの準備があるので、できれば早めに参加記入を。ちょっとした景品が当たるゲームもやるかも!
さて勉強会の催しは、「MediaBorder会員が選ぶ!2024年メディア界10大ニュース」のランキング発表だ。これも記事の最後に投票用のフォームを置くので、以下の解説を読んで投票してもらいたい。10大ニュースは以下。
1:能登半島地震で問われたインフラとしてのメディア
1月1日に能登半島を襲った大地震はメディア界にとっても課題を突きつけた。テレビの中継局が電源切れに見舞われ、携帯電話の電波も届かないエリアが多数出た。被災した人々にとって情報がテレビからもネットからも得られないのは、これほど心細いこともなかっただろう。
意外にもメディアが脆弱だと痛感され、メディアとは電気や水道と同じく重要なインフラだと再認識された。山がちな日本で、また地震が起こると同じことが起きかねない。
だがその解決はその後、何も得られていないのではないか。喉元を過ぎて忘れられかねないことに、あらためて問題意識を持つべきかもしれない。
2:Netflix1000万人超えなど映像配信サービス成長続く
コロナ禍も終わったが、意外にも映像配信サービスはまだまだ成長を続けた。U-NEXTは2023年前半には300万人だったのが今年は430万人まで増えた。FODも150万人を超えるなど、国内勢も会員数を伸ばしている。
Netflixは今年「地面師たち」などのヒットでさらに活性化したようだ。すっかりエンタメサービスとして定着した。
追記:12月4日に会員1000万人を超えたことが発表されました。
さらに今年はBBM社が「FASTサービス」を開始し話題を集めた。映像配信サービスについてすぐ「伸び悩み時期に入った」と言いたがる人がいるが、まだまだ成長トレンドは続きそうだ。
3:選挙をネットが動かす
兵庫県知事選挙は記憶に新しいが、7月の東京都知事選挙、10月の総選挙とネットを活用した候補や政党の躍進が続き、ついに県知事選の結果さえ動かした。
選挙でのネット活用は随分前から行われており、2016年の東京都知事選挙での小池百合子氏の選挙戦でもSNSがうまく使われた。
ただ、そのことが必ずしも好ましい状況でもない、というのが兵庫県知事選挙で顕になった。選挙という民主主義を根本的に支える仕組みがネットの情報で荒れるようでは本末転倒だ。そして選挙報道をテレビ局が控えてしまうことも、ネットとの兼ね合いで問題視された。
ネットでも、テレビでも、メディアの振る舞いが問われた。
4:SNSとネット広告の荒廃
3とも関係する項目だが、SNSとネット広告の荒廃ぶりがもはや社会問題となった。1月には「セクシー田中さん」のドラマ制作が問題になった挙句、原作者の自殺という痛ましい事件まで起こった。明らかにSNSの荒廃がもたらした悲劇だが、ユーザーの間で反省は薄い。
一方ネット広告はこれまで以上に読者の気持ちを害する広告表示が加速度的に増えた。ウェブメディアは自らの価値を下げていることに目を向ける余裕もなく、無理やりな広告表示に血道を上げている。またSNSでの詐欺広告が何百億円もの被害をもたらし、これにはさすがに政治家たちが問題視した結果、少しは止んだ気がする。
いずれにせよ、SNS事業者による自助努力が求められるがXの持ち主となったイーロン・マスクからそんな態度は感じられない。オーストラリアで13歳以下のSNS利用禁止法案が可決されるなど、来年以降は各国で規制が進みそうだ。日本でも議論が始まってはいるが、遅れているのは否めない。
来年に解決は持ち越された。果たしてどうなるか。
5:日本コンテンツ海外で躍進
昨年、「ゴジラ-1.0」が米国での興行を成功させ、今年のアカデミー賞で視覚効果賞を受賞した。またディズニー+で配信されたドラマ「SHOGUN」がエミー賞を受賞。Netflixの国内制作コンテンツがグローバルでもランクインした。
海外展開は日本の映画やドラマにとって悲願であり、だが言語や文化のハードルが高いと言われてきた。だが世界での日本文化の評価の高まりや、配信に慣れて字幕への抵抗が薄れるなど、状況が変わった。日本ならではのコンテンツ価値を示せば可能性があることが今年、はっきりしたと思う。
ただし、この流れに地上波テレビのドラマが乗れるかは話が別だ。国内で視聴率を取るのか、海外展開もできる作り方にするのか、方針を明確にする時ではないだろうか。
6:テレビ局再編へ
再編については前々から言われてきた。「テレビ局再編」が1月に発刊された。だが具体的な動きは数年先と誰もが考えていた。
ところが11月29日に日本テレビ系列の札幌テレビ、中京テレビ、読売テレビ、福岡放送が来年4月に経営統合すると発表され、驚いた。「テレビ業界再編の号砲が鳴った」と報じられた。その具体がどうなるのか、来年はウォッチしたい。
また、似た動きが多系列で進むのか、そもそも基幹局4局の統合の意図は何かなど、話の種は尽きない。
だがいよいよ、再編が始まるのは間違いないだろう。
7:生成AI活用本格化
昨年までは進んだ人が使うものだった生成AIが、多くの人々そして業界での活用が当たり前になった。メディア業界での活用はここでもいくつか紹介してきた。
ひとつは表現の領域。だがそこには著作権のリスクがつきまとう。この分野での本格活用は少し先だろう。
もうひとつ、業務効率化の領域では具体的事例があちこちで生まれている。私も様々に活用している。来年は様々な事例が出てくるだろうと期待している。
8:新聞業界危機
かねてから言われていた新聞業界の危機がまだ周縁領域ではあるが表面化してきた。全国紙が地方で夕刊をやめたり撤退するなどがいくつか出てきた。また夕刊フジは来年1月末の休刊を発表、東京中日スポーツは同じく1月末で紙の印刷をやめてネット版のみになると発表した。
新聞は早くからネットでも情報発信をやってきたが、そのビジネスモデル構築がまったく遅れていた。その気がないようにさえ見える。来年からは本当にどうするのか、問われるだろう。休刊はもっと増えるのではないか。
9:テレビCM新商品登場
日本テレビがアドリーチマックス(AdRM)プラットフォーム開発を発表し、2025年春からの実働を目指す。この動きはここでも何度かにわたり追ってきた。
私がこのテーマに興味を持つのは、テレビの広告メディアとしての売り方にかねて疑問を持っていたからだ。特にスポットは「バルク売り」に近いと思う。イケイケの時代はともかく、縮小の時代にあっていない。
もっと言えば、日本は広告枠を安売りしてきた。同じ人数に広告を届けるのに米国の半分程度の価格で販売しているとのデータを見たことがある。ネット広告もあまりに安い。
その結果、コンテンツの価値も低めてきた。その弊害はあちこちに出ている。
CM枠の売り方を見直すことは、広告の安さについての抜本的な解決の糸口になるはずだ。いよいよ来年具体がスタートするAdRMは期待して見守りたい。
10:NHKがネット本来業務へ
この項目を10番目に置いたのは、私にとって興味が薄れているからだ。「放送と同一」の情報をネットで、となったのでユーザーにとっていい形にならない。たとえば、ただでさえテレビ放送を見ない若い世代が「放送と同一」のものをただNHK+で配信されて興味を持つきっかけができるはずがないのだ。
若い世代がメディアにどう接しているか、見ようともしない今のNHKは、ネットではその他大勢のポジションしか取れず、「公共メディア」としての情報の届け方はできないだろう。「公共放送」に後戻りしているので、それでいいのだろうけれど。
以上の解説を参考に、10項目挙げた中からこれはと思う3つをフォームから選んでもらいたい。さらにその理由と、もし書いてもらえるなら今年を振り返っての所感も書き込んでもらえればと思う。
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?