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映画「スージーQ」ロックンロールは男だけのものじゃない!今の当たり前を初めてやった女

2年前に映画館で見そこねた映画「スージーQ」がAmazonプライムビデオにあった。スージーにそんなに思い入れがあったわけじゃないけど見たら涙もんだった。
イギリス人と思ってたらデトロイト生まれだった。音楽好きの一家で4人姉妹。姉たちとバンドを組み14歳から活動しずっとツアーに出ていた。イギリスからやってきたプロデューサーが彼女らに目をとめたがロンドンに連れて行ったのがスージーだけだった。以来、姉妹たちとは微妙な関係。
ロンドンでは狭い部屋に住みレコーディングの準備に入るが進まない。どんな曲がいいのかプロデューサーが悩み込む。とにかくバンドを組もうと呼ばれたメンバーの中にギターのレン・タッカーがいた。レンとスージーは恋仲になった。
そんな中でソングライターとして呼ばれたのがマイク・チャップマン。スージーを見て何かが湧いてきた。出てきた曲が「キャン・ザ・キャン」だった。衣装を決める段になってスージーはレザーを着たいといった。反対されるが譲らない。
皮のジャンプスーツを着たスージー・クアトロの「キャン・ザ・キャン」はたちまちヒットチャートを駆け上り英国1位に。ヨーロッパ中でヒットしてスージー・クアトロはたった一曲で、甲高い声で自分と同じくらいのベースを皮のスーツを着て歌う女ロックンローラーとして有名になった。「スージー・クアトロ」とはマイクとレンとスージー本人による合作で誕生したのだ。
それを見たデボラ・ハリーやジョーン・ジェット、ランナウェイズのシェリー・カーリーらは、女だってロックンローラーになれるんだと解き放たれた。いやそんな女の子は世界中に何千万人もいただろう。中でも、トーキング・ヘッズのティナ・ウェイマスは彼氏のクリス・フランツにスージーを教わるまでフォークギターしか弾いてなかった。そんな1973年はロックにとっての女性解放元年なのだ。
スージーの演奏するシーンを初めてちゃんと見たけど本当にカッコいい。何よりベースが上手いし弾く様は新しいロックンローラー像だ。自分と同じくらいのベースを馬を乗りこなすように言うこときかせている。こんな風に歌いながら楽器を弾けたらと女性ならみんな思うだろう。数年後ティナ・ウェイマスは実際にベースを弾きながら歌っていた。
そして僕たちはその後のスージーを知らない。意外にもロックンローラーは80年あたりまででその後はコメディに出たり映画に出たり、30代半ばにはなんと「アニーよ銃を取れ」に出ている。ミュージカルかよ!
そんなちょっとだけ知っていた往年のミュージシャンの人生を追う映画。なんと製作はオーストラリアのプロダクション。スージーはオーストラリアで特に人気だった。テレビには出たけど、曲はアメリカではさほど売れなかった。不思議。
配信があってよかったなあ。

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