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外環道に破壊された町 調布市東つつじヶ丘
京王線に新宿から25分ほど乗ると、つつじケ丘駅に着きます。大きな駅ではなく、北口はお店もそれなりにありますが、南口は何もなく、降りるとすぐ畑があるのどかな駅です。都心から近いのにこんなに静かな住宅街があるなんて。きっと住み心地いいんだろうなと思います。
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ぶんぶん公園を起点に東つつじヶ丘を歩く
この駅から歩いて10分ほどの東つつじヶ丘という町がこの日の目的地。外環道による道路陥没にはじまる補修工事によって大量住居移転を強いられた町です。下の地図の左側につつじケ丘駅がありますね。そこから東方向に「ぶんぶん公園」とあります。その南側が問題のエリア。
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案内してくれたのは三島康生さん。2023年まで勤務していた放送局を退職し、別の会社に勤めながら取材してこのnoteを書いている方です。
大深度地下トンネルを掘る外環道工事によって移転を強いられた様子を、コツコツ取材して書きつづっています。東つつじヶ丘に一番詳しい取材者だと思います。
「ここが、ぶんぶん公園だったところです。」と教えてくれたのが、トップ画像の写真。公園のかけらもなく、無残な工事現場と化しています。
三島さんの丁寧な解説を受けながらその一帯を歩いて回りました。地図も用意してくれたので見てください。
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この地図の上の方の「中継ヤード」とあるあたりが、さっきの地図の「ぶんぶん公園」です。その下の青く塗られたエリアが工事中の外環道トンネルの上で、移転対象となりました。その他に黄色く塗られたところも移転しています。
赤い矢印で示したのが、最初に道路陥没が起きたところ。このニュースにも出てきます。
今はもう、補修されて埋まっていました。
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閑静な住宅街が巨大な工事現場に変貌
三島さんの案内で、上の地図の青い部分を中心に見て回り写真を撮りました。閑静な住宅街が大規模な工事現場に変容した痛々しさは、スマホには収めようがなく、どう撮っても伝わりそうにありません。写真を並べてお見せしますので、そこから感じ取っていただければと思います。
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さっきの地図の青い部分一帯が、こんな「工事現場」になっちゃっているんです。家々の面影も残ってない。無残と言うか惨いと言うか。人びとがごはんを食べ、花に水をやり、子どもたちが走り回り、ご近所でおしゃべりし、日なたぼっこしていた家々が、全部得体のしれない工事現場になった。立ち退いたみなさんも悲しいでしょうし、対象にならずすぐ横が工事現場になったみなさんも気持ち悪いでしょう。
謎の立ち退きエリアと不気味なパイプ
さらに不気味なことがあります。地図の青い部分の東側に、川を隔てて黄色い部分があります。そっちはまだ掘ってないトンネルの上に当たる箇所なのですが、そこもなぜか立ち退き対象になり家がなくなっています。
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最初は対象になってなかったのが、途中からこちらも立ち退き対象になりましたと言われ、こうなったそうです。工事ヤードとして資材置き場にするとのことらしいですが、なんだか怪しいですね。
得体のしれない工事の、さらに気味が悪いのがパイプです。
この工事は何をしているのかと言うと、空洞を埋めているわけです。地図の青い部分に3箇所、赤い雲のようなものが描かれています。これが空洞で、新幹線2両分くらいの容量があるそうです。これをコンクリートで埋め固めるのが補修工事。
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この機械が空洞を掘り、コンクリートで埋める作業をしている。機械から土を運びだし、コンクリートを送り込む必要がある。そのためにパイプを通しています。ダンプが入ってこれないのでパイプで運ぶしかない。
そのパイプはうねうね入間川の上を通っています。
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伸ばして伸ばして、京王線を越えて、甲州街道も越えた反対側にやっと集積所があります。
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赤い丸をつけた緑色の建物ですね。そこにダンプが来てセメントを入れたり土を出したりしているそうです。
この工事は、壮大なお馬鹿をやっているんじゃないでしょうか。何十軒もの家を立ち退かせてセメントで空洞を固める工事そのものがまず馬鹿みたいです。そして空洞ができていない川の向こうの家まで立ち退かされたのも、資材を置くためだなんて馬鹿みたい。さらに土とセメントを運ぶダンプが入れないからとパイプを張り巡らせる不毛。
そんなことまでしなきゃならないなんて、要するに大失敗だってことでしょう。その大失敗をなんとかなかったことにしようとコンクリートで埋めている。埋めているのは、空洞という大失敗なわけです。
追記:三島さんに指摘いただき、少し補足します。「空洞を埋める」作業はすでに済んでいて、今は空洞で緩んだ地盤を強化するために直径4mの円柱をセメントで作る作業をしているそうです。その数なんと220本!三島さんによると「シールドマシンが土を削りすぎて、できた隙間がだるま落としのように地表近くまで上がり、そこまでの強度が上までゆるゆるになってしまったわけです。」私の理解不足で失礼しました。ただ、よりいっそうお馬鹿な工事でした!シールドマシンってろくでもない機械だと思いました。
予兆があったのに工事を止めない無責任
三島さんの紹介で、まだ残ってらっしゃる住民の方に話を聞くことができました。聞いたらびっくりだった。
Bさんは外環道トンネルが下を通ると聞いた時から大丈夫なのかと心配になりました。つつじヶ丘だけでなく心配する人びとは広いエリアにいて、反対運動が起きていました。Bさんも参加したそうです。
工事する側も定期的に説明会を開くようになり、様々な数値も報告していた。そんな時、Bさんも近所の人びともおかしな振動を感じた。ひびが入った個所もある。説明会で聞いても大丈夫と言うだけ。でも教えてくれていた数値を教えてくれなかったそうです。
そうしたら、道路に陥没ができた。ほら、心配してた通りになった!
それでもNEXCOが工事との関係を認めるまでに2ヶ月かかった。ふざけるな!と誰でも言いたくなるでしょう。
心配していても、反対運動に参加しても、振動があっても、工事を止めなかった。そうしたら陥没です。空洞ができてましたって、なんてお粗末なのか。
一つ前の記事に登場した工事の専門家の知人Aさんが「土の量が計算とズレてわかってたはずです」と言っていたように、住民の皆さんが異変に気づいた時点でわかってたはず。それなのに道路に穴が開くまで工事を続けた。
これは事故ではない。人災ですよ!なぜ誰も責任が問われていないのか。工事を止めなかったことには明らかに責任があります。刑事的な責任さえ問えるのではないでしょうか。
外環道は必要か?リニア新幹線も・・・?
町をすっかり破壊し、お馬鹿な工事をしてまで進める外環道計画って本当に必要なのでしょうか?そして「大深度地下」を巨大なシールドマシンで工事するのは、経験値がなさすぎる。しかも事が起こると、影響は東つつじヶ丘のように広範囲に及ぶ。こんなにリスキーな工事はない。
私の家の地下を掘るリニア新幹線工事も、東つつじヶ丘のような事態を引き起こさない保証はない。JR東海を問い詰めても「100%大丈夫」とは言えないでしょう。
東つつじヶ丘の教訓を私たちは生かせるはず。それは、前もって話しておくことだと思います。もしものことに、備えておく。約束をしてもらうことです。
東つつじヶ丘をこの目で見て、私は絶対に約束させようと思いました。
※リニア新幹線工事への不安を書きつづってマガジンにまとめています。マガジンをフォローすると新しい記事の通知が届きます。