10年目技術系公務員が民間企業に転職するまでの500日③ いざ応募へ
この時点での大きなタスクは2つ
・民間企業へ転職すること
・家を購入すること
実はこのタスク、転職しようとするうえで非常に危ういものとなっている。
私自身この先で気づくのだが、転職活動の際の一番の罠が、「転職すること」が目的になってしまっていることである。
いわゆる手段が目的となっている状態である。
特に公務員の方は気をつけてほしい。
基本的に公務員は目の前の膨大なタスク処理を行なえばそれが成果、つまり公共の利益というものに繋がる。タスク処理自体が手段であり目的であるかつ、税金という原資があるから手段が目的可しても特段不都合はないだろう。
一方民間企業は、利益を出さなければならない。そのために何をするのか、何ができるのか、何が役に立つのかを考える必要がある。そしてそれが面接で聞かれるのだ。
このギャップがSNSなどで公務員は楽だと言われる要因だと考える。元公務員だから言えるがどちらが優れているとかではなく、業態の特性の差があるだけなのだ。
公務員は「これをやれば必ずみんな助かる」というのがある程度分かる。
民間は「これをすれば必ず売れる」という確証が持てないということである。
どちらも大変だということで比較するものではないと個人的には思っている。
ただ転職活動ではそうはいかない。公務員から民間企業への転職を成功させるにはこのギャップを埋める必要がある。
そんなことはこの時点で理解できていない自分は、どうにかペラッペラな履歴書を書き上げ、とうとう民間企業へ応募してみることにした。
さてエージェントや転職サイトを介さない方法として、企業独自に募集しているところがある。
特に大企業なんかは中途求人の募集ページが非常に充実している。
さっそく大手化学メーカーの求人に応募してみるか……といったときふと思った。
「いいのか…これを押せばもしかしたら、すぐに転職先が決まってしまうぞ…どうあれ現状の安定を捨てることになるぞ…」
一番初めにボタンを押したとき手が震えた。
おそらく転職を躊躇して進めない人というのは、やはり変化に恐怖を感じているのだろう。
1回転職してさえしまえばその恐怖はなくなり、「どうせまた転職できるでしょう」という謎のマインドが生まれるのでそこは安心してほしい。
そんな恐怖と戦いながらついにボタンを押した。
「ああ…これで自分も民間企業の一員か…」
ちなみに転職しようと思ってここまで約1ヶ月 つまり30日ほど経過した。
残り470日 転職市場という戦場で戦い続けることになるのであった。