【洋書多読】Who was Queen Elizabeth Ⅱ(198冊目)
『Who was Queen Elizabeth Ⅱ』を読了しました。
女王がお亡くなりになられたのが今年の9月8日、それからわずか一ヶ月後に『Who was 〜?シリーズ』でエリザベス女王のお話を読むことができるとは。なかなかすごいスピード感です。
王道のバイオグラフィー
『Who was〜?シリーズ』のご多分に漏れず、本書もまた正統的な(という言い方が適切かどうかはわからないけど)伝記で安心して読み進めることができます。
1926年の御誕生から幼少期、王位継承を経て晩年に至るまでの女王の経歴が時系列で語られます。晩年の記述には皇太子妃で非業の死を遂げられたダイアナ妃に関するものも。
エリザベス女王の治世を言い表すなら、まさに大英帝国の縮小の歴史そのものだったということができると思います。7つの海を制し日が沈まない国であったイギリスが、第二次大戦後第三世界の独立化の波の中でCommonwealthとしての威厳を保ったまま、徐々に縮小していくさまは、「成熟」と呼ぶにふさわしいものでした。
それは決して「衰退」と言ったネガティブな響きで語られるものではなかったと思います。最近は何でも若いこと、イキオイがあることがいいとされていて、昔の栄光や美しさにしがみついていることが良きこととされていますが、年相応に老いていくこと、老いがもたらすある種の気品や佇まいの美しさ、というものが軽視されているように感じます。
イギリスという国は、かつての覇権を手放していくことをもって、世界におけるプレザンスを維持している。これって、同じように斜陽の国であって今後衰退の一途をたどっていくことが予想されている我が国、日本が見習うべき国家としてのあり方の一つだと思うんです。
そんなイギリスを代表するエリザベス女王2世の生き方は、まさにそんな「成熟」がもたらす気品に溢れた本当に美しいものであったと、そんなことを『Who was Queen Elizabeth Ⅱ?』を読みながら思いました。
シンプルでやさしい英語は英語多読を通じて英語力を伸ばしたい人にうってつけ
『Who was〜?シリーズ』なので、英語はとってもシンプルで読みやすく、多読を通じて英語力を伸ばしていきたい方にとってはまっさきに選択肢の一つになりうる、そんな一冊です。
昔の偉人ではなくて、現代の人物である点も、親しみやすさや事前情報の多さという意味で、英文多読にはまさにうってつけと言えるでしょう。
文化的、政治的etc.の背景情報が豊富にある英文というのは読解にあたっては大きな手助けになってくれます。そういう情報がない状態で英文を読まないと単なる「チート』になってしまう、という方も結構多いのですが。
ただ、我々の母語である日本語を読むことにおいてですら、背景情報の有無でそのテクストに対する読解のクオリティは変わるわけですから、背景情報の有無をもって英語(読解)力の高低を論じるのはナンセンスというものです。
つまり英語力があろうがなかろうが、背景情報に乏しい英語は理解するのは難しいし、情報が豊富にあればそのテクストは一気にリーダブルになるということで、英語力は副次的なファクターに過ぎません。だから安心して、自分が親しみのあるトピックや人物について書かれた英文を読めばいいと思います。絶対英語が伸びるんだから。
僕はこのシリーズの本を読むのにまだまだ1時間位かかってしまうのですが、これが数十分でつらつらと読めるようになれば、もはやTOEICの塗り絵問題もなくなるんだろうな、と思っています。
「2」を読んだら当然「1」も気になります
『Who was Queen Elizabeth Ⅱ』を読んだら、ずっと積ん読にしていて楽しみにしていた柳美里さん原作小説の英訳版『Tokyo Ueno Station』(邦題:JR上野駅公園口)を読もうと思っていたんですが、二世のことを読めば当然一世のことが気になるので、そのまま『Who was Queen Elizabeth Ⅰ?』を購入して翌日読んだのでした。
こちらのレビューはまた後日書かせていただきます。
『Who was Queen Elizabeth Ⅰ?』で僕の洋書多読遍歴も実に199冊を数えることになりました。よくここまで読んできたなぁと思います。
そうなると『Tokyo Ueno Station』が記念すべき200冊目ということになります。いい感じで多読を続けることができていて、とっても嬉しい感じです。