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【洋書多読】How to Stop Worrying and Start Living(243冊目)

How to Stop Worrying and Start Living by Dale Carnegie
 
総語数: 92,006 Words (by Word Counters)
 開始日:2024年1月19日
 読了日:2024年2月8日
 多読総語数: 10,037,141 words(祝1000万語突破!)

アメリカを代表する作家の一人Dale Carnegieの『How to Stop Worrying and Start Living(邦題:『道は開ける』)』を読了しました。

いい本に出会うことがきました。

デール・カーネギーといえば今回僕が読了した『How to Stop Worrying 〜』の他に『How to Win Friends and influence people(邦題:人を動かす)』があります。両者は発売以来およそ2000万部を売り上げているという自己啓発書の金字塔だそうです。

個人的には名著誉れ高い『How to Win Friends and influence people』よりも、今回読了した『How to Stop〜』のほうが、より万人に読んでほしいと思える一冊でした。

僕は洋書は基本的にKindleで読むのですが、今回の『How to Stop Worrying and Start Living』はフィジカルな本を一冊購入し、Kindleに引きまくった「ハイライト」をそのまま実物に移植して、繰り返しいつでも読めるようにベッドサイドにでもおいておきたいと思っています。

これまで多読してきた洋書243冊。その中で『How to Stop Worrying and Start Living』は間違いなくトップクラスに入る良書でした。

素晴らしかったです。

より良く生きていくために必要な、たった一つのこと

『How to Stop Worrying and Start Living』は、人がよりよく生きていくために必要な心構えのようなものについて書かれた一冊です。

その心構えとはずばり「To Stop Worrying」=心配するのをやめること」

過ぎ去ってしまった過去にとらわれ、まだ起きていない未来に不安を抱く。そのことがいかに人間の生きるチカラを減衰させ、人を不幸に陥れていくかについて、本書は豊富な実例と古今東西の哲学者やキリスト、ブッダなどの宗教者の言説を引いて解説してくれています。

余談ですが、僕は5年前に始めたマインドフルネスメディテーションのおかげで、それまで僕を煩わせていた悩みごとの9割は消え去ったと思っています。そして『How to Stop Worrying and Start Living』に書かれていることはまさに、僕がマインドフルネスメディテーションを実践しいく中で得てきた感覚、経験値を言語化してくれていると思われるんです。

本書ではブッダの言が、ややもすればキリストやアリストテレスなどの偉大な宗教者/哲学者以上にふんだんに引用されていますが、なるほど本書が瞑想によって得られる感覚に近いことを述べてくれているわけです。

瞑想は仏教の実践方法の一つですが、アメリカの内科医であり曹洞禅の師範であるジョン・カヴァット・ジン博士が、伝統的な禅の瞑想法から仏教的な要素を排除したことによって全世界的に市民権を得たのがマインドフルネスメディテーションです。

あらゆる不安を消して豊かな人生を過ごすのに必要な心構えは実に「今、この瞬間を100%生きること」。仕事、家事、育児、夫婦生活etc.これらに全力で取り組みながら、今あることに感謝する姿勢が人間を幸福にするのだという事例を、実に10万語近いボリュームで説明してくれる本書。冗長さや退屈を全く感じさせない、力強くて心に染み込んでくる、鮮やかな英語で書かれています。

英語は英検1級レベルど真ん中の難易度です

僕にとってはとても幸福なことですが(そして多くの英語学習者のみなさんにとっては悲しいことかもしれませんが)、本書の英語は英検一級・CEFR C1レベルです。TOEICが900点を超える方であったとしても、読むのはそれなりに難しいと思います。

使用されている語彙、英文法、表現などなど、どれをとっても普通に日本人が接することのできる英語のレベルを超えています。NY TimesやNewsweek誌を楽に読めるレベルの英語力がないと、本書を読みこなすことは難しいでしょう。

それでも、この本は一読に値する価値の十二分にある一冊です。文章の難易度だけでなく、その文体の鮮やかさやつかわれているロジックの精密さ、人を動かす言葉など、どれをとっても一級品の英語が10万語にも渡って連ねられているんですから。

しかも、読んだその瞬間から取り組むことができる「幸福な人生を送るための知見」にあふれている。こんな価値のある英文テクストを読まない手があるでしょうか?多分ないと思います。

時代の風雪を耐えたからこその存在感がある一冊

というわけで『How to Stop Worrying and Start Living』でした。

発売後実にに80有余年(おそらく)著作権が切れてしまってAmazonでは100円以下という驚異的な金額で読める本書ですが(僕が購入した時は99円でした)、ミレニアムをまたいだ今もなお非常にリーダブルな一冊であるという事実に本当に驚かされます。

村上春樹は『ノルウェイの森』で、その登場人物に「時代という風雪を耐えて読みつがれているテクストの偉大さ」を語らしめていました。本書は小説ではないけれど、内包されているパワーやエネルギーはドストエフスキーやフィッツジェラルド、バルザックなどに決して引けを取らないと思っています。

機会があればぜひ手にとってみてください。本書を読みこなせるようになるために英検一級をめざす…という学習モチベーションがあっても僕は全く異論を唱えないだろうと言い切れるくらい、手にとった人を全く別の場所へといざなってくれるであろう素晴らしい一冊です。

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