エリクソン研究会記録『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』P308L15〜P324L11 第41回
※本記事はめんたねにて2013年3月〜2017年6月まで行われたエリクソン研究会のメモ書きを文字起こししたものです。テキストは『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』を使用しました。メモ書きなのでテキストを読んだ前提でないと、わからない書き方になっていることにご注意ください。
また、エリクソン研究会では現在別のテキストの『2月の男』を読んでいます。
http://mentane.net/workshop/pg167.html
P=ページ数 L=行数
読んだページ数P308L15〜P324L11
P308猫の話をした意図は?
エリクソンが唐突に変な話をする際の意図
①混乱技法
②健忘
猫の話以降はトランスに入り無意識が活性化する。それまでしていた話を健忘させたい。「世の中は不公平で不条理」という旨の話だ。これまでも、この話はエリクソンは一貫して生徒に伝えようとしている。意識で否定させないように、無意識にインストールさせるために、話をぶった切る。
P309彫刻の話
物語、アナロジーの話
事実A 大杉君がはじめてめんたね事務所に来た 2011年3月
事実B 大杉君がめんたねのアシスタントをやりはじめた
事実C 大杉君はエリクソン研究会のアシスタントをしている 2017年1月
A→B→C
の時系列で事実がある
これらの事実からどのような物語を人は読み取るか?
物語① 大杉君は長年めんたねに居ついている
物語② 大杉君は仕事以外のことをやる時間がある
物語③ 大杉君は尾谷さんと気が合う
物語④ めんたねは大杉君を搾取して無料の労働力としている
人は独立した事実にこのように物語を読み込む。この物語をいじるのが心理療法のやり方。エリクソンは「患者が事実に対してどのような意味を持っているかを見よ」と言う。自分が事実を同思うかは別だ。カウンセリングは患者のストーリーに基づいてはなす。
物語にはその人の思考のクセが出る。上記の解釈だと、仕事といった人は、自分の仕事が忙しく、時間がとれない現状を気にしているかもしれないし、気が合うといった人は気が合うことに関心があるかもしれない。
スティージフの質問 P309真ん中
早くに治療をあきらめてよいのか?これは多くの療法家が思うところだ。
スティージフは物語の話をされたのでコメントをした。交流分析は物語の見方を決める。アドラーも大まかに物語をつくる。交流分析は変えられるという考え。アドラーは大きくは変えられない考え。考えは変わるか?変わらないかという論争がある。療法家は変化を大きく取りたい。そうすればやれることが広がる。
エリクソンは「変わらない」というから当然不満を持つ。「だめなものはだめ」「不平等、不条理」の話からエリクソンが離脱しようとしたから。スティージフは戻した。これはエリクソンには都合がわるい。
話を断ち切るのは、トランスに入れて無意識に学習させたいからだ。しかし、ここで話を戻すと意識にあがってしまって無意識に入らない。そこで質問で返して、ジョンの話をする。一見スティージフの質問に答えるのだろうか?と思う。
物語への対処
感情の声に逆らえない→感情を脇において他のことができる。失敗してはいけない→成功するには失敗が必要だ。失敗をどううけとめるかが大事不快感を感じてはいけない→不快を感じていること自体が不快という不快のスパイラル
→人間は生きていれば不快を感じる 不快は大事 受け止め方や反応を変えればいい
スティージフの質問に答える話
プロの患者をどうかんがえるか?話に出てきたジョウ、ピートはプロの患者ではない。エリクソンはここで何を言いたいのか?
解けない問題を参加者に投げてトランスに入れるねらい。治療はできるのか?できないのか?話を聞いた参加者はもやもやする。トランスに入り無意識で答えを探すようになる。ヒントとして、患者一人ひとり違うのだから、今目の前の患者を見なさいと。今の患者を丁寧に見ることこのルールに従えばOKだというものを人は欲しがるが、そうした怠惰をエリクソンは許さない。毎回自分なりの考えを持て!としかいわない。
矛盾し、対立した両方のケース。何を持ってエリクソンは見切ったのか?救おうと思ったか?そうした判断の思考回路は言わない。
患者が治療に取り組む気になれる場を作ることが大事だが、どうしたらできるか?やれるか?を問い続ける。
どんな患者でも治せるという発想はしないことだめなものはだめだ。その一方で工夫もする。うまく事例も提示する。スティージフはみなが解決可能なマニュアルが欲しい。そうして、解決可能だと思っていることもある種の思考停止だ。そうした心理療法かが患者に振り回され利用されることはよくあるので戒めている。
この一連の話を聞いて参加者が考えているようになれば、エリクソンの働きかけは成功したとえいる。正しく自分を伸ばすような思考パターンを身につけさせる教育をしている。
プロ患者と見込みのある患者のポイントは?
本人が何とかしたいと思わせられたら動く。何とかしたいと言葉で言うとは限らない。見込みがあってもふてくされているかもしれない。
ピートの変わるポイントは
42度の中を10キロも歩いてエリクソンの下に来た。コストをかけてエリクソンのところにくる。これは期待と望みがあるからだろう。プロの患者はコストを減らせと交渉を持ちかけてくる「あれはだめ」「これはムリ」
発言よりも行動を見る。
ピート「話したくない」と言ったのにまたエリクソンのところに来る。9.6マイルを1,5往復。計約30キロ歩いた。何かあるのではないかと期待がピートにはある。レキィは手紙を書けといわれていたのに、コストをサボって電話してきた。
共同体感覚(利他性)エディのために行動をあらためた。仲間や近しい人を大事に思う気持ち。他者との心理的つながり。レキィにはなかった。
非行少年も暴走族の仲やヤクザの事務所の中では仲間を大事にするいい人だったりすることがある。他者への協力を患者の中で沸き起こさせることができるか?
P320名誉を重んじる
自主性を重んじることにつながる。自主性に任せればうまくいく。自主性に任せてよいほうに良くケースは、患者の中に名誉を重んじる気持ちがある。自主性に任せて割るほうにいく場合は強制するしかない。名誉を重んじる気持ちがない。プロの患者は名誉を重んじる気持ちが無いのだろう。自分で自分に誇りを持てない人。反社会性人格障害。かつてめんたねで出入り禁止になった子がいる。
エリクソン「午前8:10村へ」
エリクソンは自閉症、アスペルガー傾向、発達障害傾向がある人だった。このほかにも1953年1967年と記憶しているが一般的な人は過去の記憶を思い出す際に年号のことを細かく思い出さない。年表のように歴史を捕らえる人がいる世界の整理の仕方を時系列で覚えることにこだわりがあった。とにかくエリクソンは数値にうるさい ジョウは6フィート3インチといった言葉にも表れている。辞書をよんで記憶していたという位だから。
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