エリクソン研究会記録『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』P140L7~P153 第23回
※本記事はめんたねにて2013年3月〜2017年6月まで行われたエリクソン研究会のメモ書きを文字起こししたものです。テキストは『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』を使用しました。メモ書きなのでテキストを読んだ前提でないと、わからない書き方になっていることにご注意ください。
またエリクソン研究会では現在は別のテキストの『2月の男』を読んでいます。
http://mentane.net/workshop/pg167.html
P=ページ数 L=行数
読んだページ数P140L7~P153
P417~の「付録サリーとローザへの催眠誘導の解説」(本文P132L3~)
の映像を見ながらの勉強会
サリー左手
P140
エリクソンわずかに左手を動かす。ラポールが取れているので
サリー自分の左手動かそうとして固まっていることに気が付く
暗示に反応するか否かを非言語でチェックかける
サリーは左手が動かないことへの理屈を作る
これは意識の仕事
なぜか左手が動かないということに直面して理由を考え始める
ただ動かないというのはサリーは受け入れられない
サリーのセルフイメージと異なるからだ
サリーは中に入って考えることに没頭してエリクソンを持ていない
「I recall」思い出だす。
エリクソンが左手が動かないこととサリー自身が動かないことを結びつける
意識のストーリーを作っているときのサリーの動きをエリクソンは見ている
見ることでその人の中の意識無意識の働きが見える
P142
ディープすぎるトランスは使い勝手が悪い
話したりして情報が聞き出せないからだ
相手にどんなメッセージを投げかければいいかも情報がわかっていないと使わない
P144
①Deep trance little
②trance little
③normal now
②trance littleで扱う
思春期の女の子に家はどこと聞いてみるイメージ
デモンストレーション
どの様に人は抵抗をするのかを見せたい
ローザにもそのことを知ってもらいたい
ワークショップでは主催者に抵抗が行くようにしている
ローザが主催者であるエリクソンに向かって反発するのは問題がない
サリーに抵抗が向いてしまうのは避けたい
このデモは抵抗を見せるデモだ
抵抗をどのように受け止め、関係を作るか?が重要
抵抗されればされるほど催眠はうまくなる
P140L9
「ほんの少し驚いているのですか」
エリクソンはわざと驚きを小さいほうにずらしていう
何故か?
可能性としては逆を踏んだか
ほんの少しとエリクソンがいうと、
そうではないとサリーが反発して大げさに、
大きく驚く方向に向かう可能性
エリクソンはトランスに入っていることを自覚させたい。
驚きはトランスへの自覚につながるかもしれない。
エリクソンが狙ったか。
もう一つの可能性としては驚く必要がないので、驚きをしずめたいのか?
P140L12
「そう思います。(ほほえむ)」
サリーのこの言葉は推測であり、正しいかどうかは解らない。
まだ信じていないニュアンスがある
L14でも「動かなかったように思えるのです」と言って動かなかったと断言はしない
P141L5
「ええ、今まさに歩けません。(頭を振る)」
頭を振るのは、なぜ歩けないのかがどう説明したものかと困っているのが体に出ている
サリーは意識でこの状態を説明する理屈を作ろうとしているが困っている
説明がつかないことに直面してL3で笑ったりしているが、だんだんとぼんやりしていく
P141L8~9
「身体に麻酔をかける方法を知っています。(先生は、サリーを期待して見る)」
これはサリーの身体に麻酔をかける暗示
サリーの瞬きの仕方もトランスに入るためのカタレプシーのそれになっている。
P142
サリーは自分の意見が言えない、嫌われたくないという思いが強い
自分が何を言っているかわからない
コミュニケーションにトラブルがある
嫌だとわかっているのに面と向かって嫌だといえないサリー
腕はカタレプシーになり
半分麻痺していてトランスに入っている
トランスにもいくつかのステージがある
ディープなものから、浅いものまでグラデーションがある。
意識は覚醒させたいときには浅いトランスを好む
しゃべってやり取りして心理療法をしたいときは浅いトランスに入れる。
状況によって使い分ける
これは麻酔だ
心にも体にも麻酔をかける
これからエリクソンがやることはサリーの心が多少痛むことをやる
痛みを生じさせないようにアプローチをしている
サリーの腕が肩にある間に麻酔をかける狙い
P142L8、L10
「複雑な気持ちねぇ」
「とても、とても複雑な気持ちですか」
サリーの「複雑な気持ち」という表現をエリクソンはやめさせたいので
わざとこのように強調してからかっている
サリーは返答に時間がかかっている
このことは心理療法ではとても大事。
サリーは自分が動けない状況にあって、
サリーの意識は動けない理由のストーリーを作りあぐねている
サリーはエリクソンの考えを受け入れない頑固者
あいまいな言い方で受け入れない
サリーの反応の胡散臭さは、自動反応パターン化によるもの
しばらく関わっているとその人のパターンが見えてくる
サリーの言ってることが嘘だとなぜわかるのか?
本心とはべつのことを態度として出している。
しっかりと考えていない
表面上の対人関係のためにサリーが身に着けたスキル
エリクソンはこうしたサリーのパターンを打ち破るために
パターンが通じない、パターンを使うほどに居心地が悪くなる状況を設定する。。
P142L16~P143L8
この間のキャンディーのやり取りはサリーにエサを与えている
P143L9
「まわりにいる人たちはだれですか」
サリーがどれくらいトランスに入って退行しているかをチェックしているか?
P143L11
「わかりません」
この時には一段深いところにサリーはいる
子供時代に戻っているので自動反応ではない
P143L17
「(サリーは気詰まりそうに笑う」
ここで少しトランスから戻ってくる
P144L2
「アイリーンのことを、どのくらいかんがえていましたか」
エリクソンの意図
今この場と、過去を混ぜる
覚醒した状態でより深くトランスに入れたい
周りの人間のことを聞いて
その次にサリーが過去に戻る昔の友人の話を聞く
ここにサリーが反応して過去に戻ればエリクソンにいじめられない
エリクソンは常に負荷をかけてかけて想起させる
力づくでトランスに入れようとしている
P144L15~16
「どうしてあなたはそんなにじっとしていられるのですか」
また、さらにサリーがトランスに入っていますよとトランスを深める言葉
これをうけて
P144L17
「何か先生がおっしゃったとおもいますが・・・」
サリーの記憶があいまいになってきた。深く入っている証拠
P145L1
「私が指示通りにするのは、大変珍しいことです」
サリーは自分の頑固さをここで素直に認める。
今回は暗示を受け入れている
意識と違っているので驚いている
エリクソンはそのことをサリーに認識させている
サリーの頑固な普段と今エリクソンとのやりとりの違いも明らかになっている
ここでの普段もgirlの可能性が高い
P145L11
「おそらく、本当にそうしようと思えば、動かすことができたでしょう」
サリーは頑固な人だから、一度トランスを解くことを覚えるとやっかい
なのでエリクソンはこの言葉をスルーしている
実際にサリーが動く可能性もある
まだ、サリーをトランスから出したくはない。エリクソンの影響下に置きたい
P146L13~L14
「うーん。そんなに長くはかからないと思います」
「では、彼女を見なさい」
エリクソンはサリーにローザを誘導させようとしている
エリクソンはサリーと二人がかりでローザにトランスに入る期待をかけている
P147L4~L6
「彼女は目を開けているのがつらいようです」
「彼女は私と、一生懸命ゲームをしています」
ローザが抵抗しているときに
抵抗してる動作に言葉をかける
反発するかイエスが取れるかを見ている
P147全体のローザとエリクソンのやり取り
エリクソンは抵抗に肯定的な意味をもつ言葉をかけている
そうするとローザの抵抗がゆるむ
ページの後半で
「それでいいのです。患者を扱うと、患者はいつも何かしっかりと握り続けたいとおもっています。
その時、治療者としては、患者にそうさせてやるべきです」という
抵抗をしたいのなら抵抗させていおいてやれということだ。
ローザのエリクソンへの態度は転移が起きている。
明らかに大人の態度ではない。わざと反発する子供のよう。
P148
サリーの咳払い
ローザがトランスに入るかどうか、予想が外れてしまったので大変に居心地が悪い。身体症状に出ている
サリーははっきりとした対立状況に耐えられない
P148L17~18
「とても知的で遠回りな方法を使って、左手のコントロールをしたではないですか」
エリクソンは後付けで言ったにすぎず、これは正確ではない
エリクソンはさも、私は知っていましたよという物言いをして、サリーを自分の影響下に置いている
ここでのサリーの咳払いをエリクソンは正しくは解説しない。スルーをしている。
起きていることをすべて説明することで教育効果があるとは限らないのだ
場合によりけり
あなたの無意識はとても賢くて、あなたのために動いているという暗示をかけている
フロイトの無意識に関する悲劇的ストーリーをひっくり返したい
P149半ばからのクリスティーヌの質問からP150L2のエリクソンのぶった切り
クリスティーヌの質問は、サリーが私はトランスに入っていないのではないか?と思ってしまう可能性があった。
ここでサリーに答えさせるとサリーのトランスの学習に悪い影響がでるとエリクソンは考えた
そこで、いきなり「名前はキャロルですね」と名前をわざと間違えて話の流れを切る。
さらに名前を間違えることでサリーは混乱してトランスに入っていく
P150 半ば
ローザの名前をローズとわざと間違えることで
ローザの意識と抵抗は間違えていることに集まり、抵抗が分散される。
P150L14~16
「ところで、ローズに抵抗を~手本を見せたのです」
ローザが抵抗をしたのはサリーにとってはいい仕事だと
ローザの抵抗に肯定的な意味を与えている。
抵抗されて戸惑っているサリーにとってはありがたいストーリーになる
P150L17~P151L1
ローザは私の意志で開いたのだと言っている。
催眠をやっていると行動にしか目がいかなくなる
意識ではいくらストーリーを後付けで作ることが可能だからだ。
P151L17
「あなたは十分に覚醒していると思いますか」
トランス誘導の言葉
あなたは覚醒していないんじゃないか?という前提に立っている
サリーは「え?」と思って覚醒してないかどうかを考え始め、トランスに入っていく
P152
エリクソンの狙いとしては、サリーをトランスに入れて変化をさせる体験をさせたい
また、エリクソンとサリーの考えが食い違っているのでエリクソンの考えが正しいと思わせたい。
たとえばこのページの後半でエリクソンが腕が上がるといい
サリーは腕がそれを否定する。しかし実際は腕が上がってくる
エリクソンが正しいことが証明される
こうすることで、他人の意見を受け入れられるようにサリーが学習する。
P152L13
「これはあなたの質問にこたえてますね」
ここで先ほどのクリスティーヌの話に答えたことにしておく
本当は答えていないのだが
P153L8~
「サリー うーん~」
サリーの反応が悪いので腕が上がるエリクソンの暗示は失敗している。
しかし、その直後にエリクソンはサリーの腕を下げさせる。
腕を下げさせてすかさず「手を下されることに抵抗しましたね」と言って、
抵抗しているってことはサリーは腕を上にあげようとしていたあかしだよねと、
エリクソンの腕を上げる暗示に反応していたねと
失敗したことと帳尻を合わせる。結構ひどい。
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