理事長と野村 示し合わせかJCHO 病院移転用地高値買い〜すべてがNになる〜

2025年2月7日【社会】

 全国57の病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO〈ジェイコー〉)が、山本修一理事長の主導であえて高値で千葉県船橋市内の用地を取得した問題(2日付既報)。本紙が入手した内部資料からは、同理事長と用地を売った野村不動産の密着ぶりが浮かびあがってきました。(矢野昌弘)

 JCHOが111億6000万円もの巨費を払って野村不動産側から取得したのは、新船橋駅(東武アーバンパークライン)そばの土地です。

 「JCHOが病院用地を取得する時は、国や自治体との土地交換が基本だった。用地取得にまるまる金を払うのは山本理事長になってからだ」。関係者はつぶやきます。

 国の診療報酬引き下げで病院経営がきびしい中、土地購入に111億円以上を支出。2028年度ごろに新病院を開院予定でしたが、建築費の高騰が直撃。JCHOは24年8月、「まだ基本構想の検討中で、移転か現地建て替えかは未定」と住民に説明するなど、用地は“塩漬け”になっています。

たびたび面会

 山本理事長は、「知り合いに野村不動産の者がいる。そこに頼もうと思っている」と繰り返し発言。土地購入前の時期にたびたび面会していました。

 23年1月10日午後、山本理事長は、榎本英二副社長(当時)ら野村側と面会。JCHOが以前から移転候補としていた土地の購入申し込み期限が翌月の2月に迫っていました。

 この面会のすぐ後に、主に事務方のJCHO幹部を集めた「施設等投資検討会議」に山本理事長は参加。本紙が入手した非公開の同会議の議事録では、山本理事長は「(用地は)野村と大和ハウスが購入意向を示している」「野村はマンションと病院として開発する見込み」などと述べていました。

 さらにJCHOが用地購入をあえて申し込まずに取得を見送った後の同年4月3日にも、山本理事長は野村と会っていました。翌日(4日)の「検討会議」で「野村不動産が買い取り、野村と住友のJV(共同企業体)で開発することが決まった。マンションとしての開発を前提としており、内々で病院が入ることは決まっている…」と発言。野村がJCHOに「売却が可能」と、入手したばかりの用地売却を持ちかけたのは、このころです。

 発言からは、移転用地をJCHOがあえて取得を見送って、取得した野村からJCHOが買い取ることを両者で示し合わせた疑いが強まります。

 JCHOは用地購入にあたって、JCHO内で土地評価鑑定を行い、その鑑定額を超えてはならないと定めていました。鑑定では1平方メートルあたり46万円でした。ところがJCHOが購入した額は同70万円。鑑定額を大幅に上回るルール無視の土地取得でした。

「闇から闇で」

 同年12月にはこの土地購入が山本理事長と主に事務方幹部だけの承認で決まりました。JCHOの理事が集まる役員会で、土地購入が議題に上がることはありませんでした。

 役員会に参加した関係者は「この土地購入は、常軌を逸する高額の案件であるにもかかわらず、闇から闇で決まったというほかない」と憤ります。

 別の関係者は「独立行政法人は、組織のトップに強い権限を持たせている。理事長が暴走すると、止められなくなる典型だ」と語ります。

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