目でみる経済焼き肉店の倒産 過去最高に〜すべてがNになる〜

2025年1月16日【経済】

 焼き肉店が苦境にあえいでいます。東京商工リサーチによると2024年における焼き肉店の倒産は45件と集計を開始した09年以降で最多でした。これまでの最多は北陸の焼き肉店で発生した食中毒問題が社会問題化した12年の35件でした。
 20年に新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になって以降、飲食店利用が急減しました。しかし、焼き肉店は換気能力が高く、「ひとり焼き肉」の流行もあり、来店客を確保。飲食店で倒産や休廃業が急増するもとでも、経営を維持する傾向がありました。こうした業態が注目され、他業種からの進出や大手チェーン店の新規出店が加速し、中小・零細の「街の焼き肉店」が激しい競争にさらされています。加えて円安と物価高による輸入牛肉や野菜、光熱費などの費用が高騰し、経営を圧迫しています。
 24年の焼き肉店倒産を規模別にみると、従業員10人未満が44件と全体の97・7%を占めます。東京商工リサーチは「小・零細規模の焼き肉店では、仕入れの価格交渉が難しく、省エネなどの設備投資も容易ではない。さらに大手チェーン店との価格競争にいや応なしに巻き込まれ、しばらく淘汰(とうた)が加速しそうだ」とみています。(清水渡)


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