横須賀基地のPFAS流出 3要因の複合汚染か市民団体が会見〜すべてがNになる〜


2024年11月14日【2面】

 2022年5月、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)から、人体に有害な有機フッ素化合物(PFAS)の流出が確認された問題をめぐり、「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」共同代表の呉東正彦弁護士は13日、横須賀市内で記者会見し、米情報自由法(FOIA)に基づいて入手した米軍の調査報告書を公表しました。

 呉東氏が入手したのは、横須賀基地司令部が作成した23年3月30日付報告書。それによれば、22年3月、日本の契約会社が基地内にある自動車センターの泡消火剤タンク点検作業中に、泡消火剤を詰めた袋を破った事件が起こりました。

 その後、22年3月25日から5月12日にかけて、基地内に「こわれない泡」が繰り返し発生。同年4月13日に複数の排水を検査したところ、5月2日、PFASの一種であるPFOAとPFOSの合計値が、日本国内の暫定基準である1リットルあたり50ナノグラムを超えていることが判明しました。(米基準値は4ナノグラム)

 さらに、21年9月に消防水タンクの検査が行われ、すべてのタンクで50ナノグラムを超えていたことが判明。同年5月から8月にかけて五つの施設でタンクのくみ出しを行ったとしています。

 呉東氏は、これらの経緯を踏まえ、(1)22年2月以前の長期にわたる泡消火剤の使用による土壌汚染(2)契約会社による泡消火剤を詰めた袋の破損で泡消火剤が排水系統に流入(3)五つの施設でタンクから水のくみ出しを行った際、排水が漏えい―という「3段階の原因が競合する複合汚染」との推測を示しました。

 一方、米軍はPFAS汚染と基地の活動との関係を一方的に否定。「家庭用品中の低レベルPFASの蓄積」の可能性を指摘し、日本の家庭用品にも低レベルPFASが含まれているとして、責任を回避しました。

 さらに、報告書は22年7月までの調査にすぎません。同年8月29日の調査では基準値の222倍とより深刻化しています。呉東氏は22年8月以降の調査報告書を開示するよう、第2次情報公開請求を行ったことを明らかにしました。

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