国保料値上げ506自治体共産党政策委調査 今年度 年金生活者ら直撃〜すべてがNになる〜
2023年11月9日【1面】
自営業者やフリーランス、年金生活者、健康保険非適用の労働者などが入る国民健康保険の保険料・税の2023年度改定で、全1736自治体(市区町村や広域連合)の約3割の506自治体で値上げ(モデル世帯換算)となったことが、日本共産党政策委員会の調査で分かりました。安倍政権が18年度に導入した国保の「都道府県化」以降2番目の多さです。値上げした自治体は大阪府が最多の9割超です。
調査は、「給与年収400万円の4人世帯(片働きの30代夫妻と小学生以上の子2人、土地・家屋なし)」のモデルにあてはめて計算したもの。都道府県化によって自治体に値上げの圧力が強まるなか、18年度は前年度の2倍を超す559自治体が値上げに。21年度はコロナ禍の影響を受け、値上げ自治体は251に減りましたが、その後増加に転じ、23年度は約3割の506自治体となりました。
値下げしたのは1割に満たない111にとどまり、18年度以降最少。残り1119は据え置きでした。
(1面のつづき)
大阪府突出 93%
共産党、公費投入 引き下げ要求
全体の約3割を占める506自治体で値上げされた国民健康保険料・税の2023年度改定―。値上げした自治体数が都道府県内に占める割合が多いのは、大阪府が9割超で断トツです。日本維新の会共同代表の吉村洋文・府知事が、国保料の急激な値上げにつながる「保険料水準の統一化」を全国に先駆けて進めている問題が背景にあります。
年収の1割超す
大阪府が示した「統一保険料率」に合わせた14自治体ではモデル世帯の国保料・税が年収の1割を超す約50万円にのぼるなど、40自治体で軒並み値上げされました。大阪府に次いで広島県が約8割、徳島県が約7割、東京都が約6割の自治体で値上げされました。
都道府県化以降の6年間を通しても大阪府が最多で、全43自治体が値上げ。愛知、福井、東京、茨城の4都県は9割以上の自治体が値上げしています。
6年間を通して値上げとなったのは999自治体に達し、全体の約6割を占めています。値下げとなったのは約2割の412自治体にとどまります。
岸田政権は「保険料水準統一加速化プラン」を設け、来年度から「保険者努力支援制度」による財政優遇を強化する方針です。大阪府など一部府県は、来年度にも府県内すべての自治体の国保料・税を「統一保険料率」に合わせる方針を打ち出しているため、さらに多くの自治体が値上げする恐れがあります。
国保をめぐっては、加入者の貧困化が進む一方、平均保険料は、事業主と折半する会社員と比べ4人世帯で2倍も高くなっています。日本共産党は国庫負担・公費の投入増で国保料の抜本的引き下げを要求。党地方議員団は住民運動とともに各地で奔走しています。
1万3千円減額
岩手県陸前高田市は今年度、物価高騰を踏まえ、国保税の「均等割」部分を1人年最大1万3千円減額しました。党市議団(藤倉泰治団長、3人)のねばり強い論戦で市政を前進させました。均等割は世帯人数に応じて増えるため「人頭税」とも呼ばれるもので、同市はすでに18歳までの均等割ゼロ(全額免除)も実現しています。
藤倉氏は「年金も賃金も上がらない一方で国保税は高すぎる。均等割減額は来年度も継続し拡充するよう市に再三要求しています。そして、国保税を値上げさせようとする国の悪政を突破しないといけない」と語ります。
(2面)