PFAS 父の摂取 子に影響米大学がマウス実験〜すべてがNになる〜

2024年6月14日【社会】

 有機フッ素化合物(総称=PFAS)を摂取した雄のマウスは、精子に異常が生じて、そのマウスの子どもの肝臓や脂肪組織に変化が引き起こされることが分かったと、米ミシガン州のウエイン州立大学の実験チームが発表しました。
 妊娠中の母親のPFAS摂取による子どもへの健康影響は過去に指摘されてきましたが、今回、父親の摂取も子孫に影響する可能性が新たに明らかになったといいます。
 実験に使ったのは、5種類のPFAS(PFOS、PFOA、PFNA、PFHxS、GenX)の混合物で、各物質の濃度は1リットル当たり20マイクログラム(2万ナノグラム)。この混合物をおとなの雄に18週間飲ませて、雄の精子と、雄とPFASを摂取していない雌を交配させて生まれた子マウス(8週齢)から採取した組織を、調べました。
 その結果、PFASを摂取することで、雄の精子のDNAの「メチル化」と呼ばれる状態に異常が生じることが判明しました。DNAメチル化は、遺伝子発現を抑制することが知られています。
 子マウスの肝臓や脂肪の組織で、どの遺伝子が発現しているのかを調べた結果、雄の肝臓の遺伝子発現が変化しており、コレステロール値が高くなっていました。雌では有意な変化は見られませんでした。脂肪組織では、雄と雌のそれぞれに変化がみられました。
 PFAS混合物を摂取したマウスの血中PFAS濃度は、PFOAで1ミリリットル当たり100ナノグラム程度、PFOSで同300ナノグラム程度。米国の汚染地域の住民と同レベルでした。
 論文は科学誌『エンバイロメント・インターナショナル』4月号に掲載されました。


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