政府「少子化対策」案公表社会保障削り財源に〜すべてがNになる〜
2023年12月12日【2面】
政府は11日、岸田文雄首相が議長を務める「こども未来戦略会議」の会合で少子化対策「こども未来戦略」案を示しました。2026年までに年3・6兆円の予算を追加する方針です。安定財源として、公的医療保険料に上乗せして徴収する「支援金」で約1兆円、雇用保険料などの「既定予算の活用」で約1・5兆円、社会保障の「歳出削減」で約1・1兆円を確保するとしています。
大企業・富裕層優遇の不公平税制や、大軍拡、大型開発の無駄にはメスを入れず、「少子化対策」の追加財源を社会保障の削減など国民の負担増に求めるものです。
同案は、6月の「こども未来戦略方針」を具体化させた内容です。安定財源は28年度までの確保を目指し、それまでは特例公債を活用するとしています。
施策面では、高等教育では国立大は1人当たり年54万円、私大は70万円を上限に授業料を無償とする措置について、低所得世帯だけでなく多子世帯に対象を拡大するなどします。6月の戦略方針で示された児童手当の拡充は24年10月分からで見直し後の初回支給は同年12月になると新たに明記しました。
一方、政府の全世代型社会保障構築会議はすでに5日の経済財政諮問会議で少子化対策の財源確保を口実とした社会保障削減の工程案を提示。▼24年度に介護利用料(現在原則1割)の2割負担の対象拡大や入院時の食費負担の値上げなどを行い▼28年度までの各年度の予算編成過程で、医療・介護3割負担の対象拡大や、高額療養費の自己負担限度額の見直し、ケアマネジメントへの利用者負担の導入などについて実施の検討・決定を行うよう求めています。
社会保障の負担増・給付減は高齢者を支える現役世代をも直撃します。