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科学・技術政策の「司令塔」に防衛省職員CSTI 民生技術の軍事動員狙う

                                                                     

2023年1月14日【1面】
 政府の「総合科学技術・イノベーション会議」(CSTI、議長=首相)の事務局に防衛省の職員が出向していることが、本紙の調べで13日までに分かりました。政府関係者が明らかにしました。CSTIは科学・技術政策の「司令塔」で、国の科学・技術政策の予算配分など強い権限を持っています。また、日本学術会議の問題で政府に組織のあり方の検討を求める報告書を出しています。岸田文雄政権が掲げる民生技術の軍事動員の体制づくりが進んでいることを示しています。
 防衛省職員が出向していたのは、内閣府の「科学技術・イノベーション推進事務局」。政府関係者は「一けた台」の人数で「非管理職として出向している」としましたが、その職務内容については明らかにしませんでした。
 内閣府はCSTI主導で大学等研究機関の膨大な科学・技術の研究データベースを保有しています。
 岸田政権が昨年12月に閣議決定した新たな「国家安全保障戦略」では、「官民の先端技術研究の成果の防衛装備品の研究開発等への積極的な活用、新たな防衛装備品の研究開発のための態勢の強化等を進める」とし、同じく「国家防衛戦略」では「防衛省・自衛隊のニーズを踏まえ、政府関係機関が行っている先端技術の研究開発を防衛目的に活用していく」と明記。軍事優先の科学・技術推進を狙っています。
 自民党国防議員連盟(会長=衛藤征士郎・元防衛庁長官)は昨年6月に政府に提出した提言で、科学・技術の軍事動員のために政府の「研究開発の司令塔となる組織」の新設や、CSTIへの防衛相の常時参加を求めました。
 日本科学者会議科学・技術政策委員会の野村康秀氏は、「『安保3文書』を受けて、科学技術・イノベーション推進事務局の管理職にも防衛省職員が出向し、科学・技術の軍事動員の仕組みづくりや研究者の囲い込み、軍事研究推進の予算配分などをCSTIに押し付ける役割を果たすだろう」と指摘します。

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