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すいよう特集 世界でも異常な日本の最低賃金全国一律1500円早く〜すべてがNになる〜

                       2023年5月31日【特集】

最低賃金は、使用者が労働者に最低限支払わなければならない賃金の下限額を定めたものです。日本の最低賃金は、労働者が自立して生活するには低すぎ、都道府県で大きな地域間格差があるという世界でも異常な特質があります。いま、1500円への大幅引き上げや全国一律制度への法改正を求める声が広がっています。(田代正則)

生活できない

 日本の最低賃金は、人口を加味した全国加重平均で時給961円。フランス、ドイツ、イギリス、米ニューヨーク州などの5~6割しかありません。お隣の韓国にも抜かされました。(グラフ右)
 全労連は、全国各地で生活に必要な金額「最低生計費」を調査。時給に換算すると、1500円以上が必要なことが明らかになりました。(地図)
 いま、日本でも世界でも深刻な物価高騰が起きています。東北地方などでは物価高騰の影響で最低生計費を再計算したところ、1700円程度が必要との試算も出ています。
 昨年、フランス、ドイツは物価高により最賃を3回引き上げました。
 日本では、岸田政権が平均31円増(3・3%)は過去最高だと胸を張り、今年は平均1000円が目標だとしていますが、物価上昇にも最低生計費にも追い付きません。1500円への大幅増が急務です。

年収差40万円

 日本の最賃は、都道府県ごとにバラバラの金額を定めており、世界でも異常です。地域別最賃の国は、日本以外にはカナダ、中国、インドネシアだけです。これらの国は面積が大きく、地域分けも大まかなものです。
 最賃額の大きな地域間格差は、人口流出の要因にもなる大問題です。東京の1072円と沖縄など最下位の853円で、219円もの開きがあり(グラフ左)、年収で40万円もの差になります。
 最賃改定の際に、都道府県をランク分けして引き上げ額に格差をつける目安制度に問題があります。最賃を時間額で示すようになった2002年には104円の格差でしたが、18年には224円まで拡大。労働者・労働組合の怒りの声で、低額地域で上積みが行われていますが、目安制度のままでは格差解消には長い年月がかかります。
 批判の声を受けて中央最賃審議会は、地域ランクを4ランクから3ランクに減らしましたが、地域間格差の解決にはなりません。全労連は全国一律制度への法改正を要求。日弁連も全国一律最低賃金制度の実施を求める意見書を発表しています。

日本共産党はこう提案します

 昨年の地方最賃審議会では、現在の政府の賃上げ助成制度が使い勝手が悪く不十分だとして、「社会保険料の負担軽減措置」など中小企業支援の拡充を求める付帯意見が相次ぎました。
 日本共産党は、アベノミクス減税で大企業が増やした内部留保に対し、時限的に課税し、5年間で10兆円の税収を確保し、最賃引き上げの中小企業支援に活用することを提案しています。大企業が内部留保を自社の賃上げやグリーン投資に活用する場合は、課税を控除し賃上げを後押しする仕組みも設けます。

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