変な大人たち「沖縄月光荘」

懐かシリーズ36

沖縄国際通りのすぐ近くに、漫画「さすらいアフロ田中」の3.7.8巻に出てくるカオスなゲストハウス「月光荘」がある。

大きい通りから細い道を通って一本奥に進むと、昭和テイストなお世辞にも綺麗とは言えない建物が見える。それが月光荘だ。

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建物自体はボロいが、手入れが行き届いている。

沖縄の三線と言われる三味線のような楽器で「島人の宝」を弾いているお客さんの音がシャワールームにまで聞こえてくる。

なんて贅沢な空間なんだろう。

1泊1500円。1ヶ月コースは3万円で住めてしまう。

ここで私は、世にも奇妙で素敵な大人たちと出会う。

沖縄というと、どこかのんびりとした空気が漂っている。

沖縄に来て、生粋の沖縄県人より移住してきた人たちと話すことが多かった。

皆、沖縄の雰囲気に魅了されて来たと思う。

日中、月光荘の居間にいると、人がぐでんぐでんになっている。

ぐでんぐでんというのは横になって脱力している様子のことだ。

それをみて、私もどこか緊張が抜けて脱力する。

居間の硬い木の床に大人3人がぐでんぐでんになって横になっている。

それを見た、他のお客さんは「何だここは、阿片窟みたいだな」と言っていた。

そこに、会話はない。が、晴れた青空と生茂る雑草のコントラストが吹き抜けの寝そべっている居間から見える。

日差しが強そうだが、屋根があるので居間は日陰と化す。

そこへ、夏の前の涼しい風がす〜っと通る。

小さい頃の祖父母の家を思い起こさせる。

言葉も、見栄も、何もいらない。

そこに生きているだけでいいのだと肯定される空間。月光荘。

皆の職業は分からない。が、こうして平日の昼間をボーッと過ごしている。

「何で沖縄に来たんですか?」と聞いてみた。

すると、いつも居間で寝ぞべっている大人は、

「ボーッとしに来た」

と答えた。

つい、東京にいると生き急いでしまうし一人ブラック企業になっていしまいがちだ。

ボーッとすることももったいないと感じてしまう時がある。

でも、月光荘ではそうしたことに違和感を感じて自ら自然に帰るように、こうして月光荘で過ごすのかもしれない。

起きて、日向ぼっこしてお昼はコンビニかどっかで食べて、また日向ぼっこか四目面並べをして、夜は月光荘の居酒屋で仲間や見知らぬ人たちとお酒を飲む。

なんて最高な1日なんだろう。

ここに集まる人は、皆穏やかな人が多く、自分の欲望を大事にしているように思う。

月光荘で仲良くなって仲間たちとツーリングやレンタルカーでどこか出かけたりもするらしい。

夜の飲み会は月光荘にとまっている人もいない人もみんなでお酒を飲む。

皆、お金じゃない何かに豊かさを見出している気がする。

生きるためにはお金は必要だ。

(プロおごみたいにおごられればいらないかもしれないが。)



しかし、お金は気づいたら人の心までも麻痺してしまう怖いものでもあると思う。

そこらへんのバランスがとても難しいと思う。

いかに、ストレスを無くして生活するか。

そのことを体現しているような大人が多いこの月光荘に私は惹かれたのかもしれない。



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