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納豆を喰らう

毎朝で納豆を食べる。
私も子も。

今朝お弁当を作りながら
朝食の準備をしていたら
うっかり子の納豆を出し忘れてしまった。
気が付いたのは子を学校へ送り出して
自分の朝食にようやくありつけたとき。

納豆のプラスチックパックの蓋を
ぱきっと開けたときに既視感が全くなく、
日々繰り返されるいつもの動作が
突如新鮮に感じられたことで気が付いた。

朝食を食べながら
——なんでないと私に言うか
——自分で出すかしないんだろう
私はぷりぷりと怒っていた。
ご飯、味噌汁、納豆、フルーツと
朝食のメニューは決まっているから
足りないものは自分で気付かないわけがない。

自分のことも自分でできないなんてと
2パック分の納豆をもりもり食べた。

余談だが、納豆が大好きなため
最後の晩餐には納豆ご飯を食べたいと思っている。

やがて時間の経過とともに
気持ちが落ち着いていき
——私の出し忘れだよね
——ご飯足りなくてお腹空いちゃうんじゃないかな
——朝の忙しい時間に話し掛けるの怖かったのかな
色んな思いが湧き上がってきて
朝の怒りは打って変わり不安に襲われた。

帰宅した子に冷静を装いつつ確認すると、
にやにやしながら「うん、なかったよ!」と言われてしまった。
——なぜ笑顔?
食べなくてもまぁいいかと
そのままにしてみたらしい。
いつもなら4時間目の最中にお腹が空くが、
今日は3時間目に空いてしまったと
やはり笑っていた。

なんだろう、この感情の違いは。
怒るとか凹むとか、
なんなら空腹で切ないとかないのだろうか。
いつも人生楽しそうだなと羨ましく思うけど、
こんな時でさえ楽しめてしまうのか。

子は最後の晩餐に確実に肉を所望することだろう。
親子だが感じ方も違うが好みも違う。
でも納豆は譲れない。

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大須絵里子
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