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夏冬支度を丁寧に

夏冬支度を丁寧に

日中気温が上がっても、朝晩は涼しくて季節が変わったことを実感する。
真夏には、強い陽射しに焼かれて日本全体の空気は熱を保ち、建物自体が熱を帯びていた。
それが秋には、少しずつ気温が下がり始めるのと同時に、空気も建物も徐々に熱が冷めて、段々と過ごしやすくなってくる。
一度冷めてしまえば、例えこの秋の最中に気温の高い日があったとしても、日中暑いだけでそれ以外の時間帯は過ごしやすい。

真夏用に敷いていたひんやりするマットが、そろそろ寒く感じるようになってきた。
真夏に買ったひんやり抱き枕も、抱いていると寒く感じる。
寒さに対して極度の恐怖心があるため、こうした季節の変わり目にはためらわず、さっさと夏を脱ぎ捨てて一気に冬支度へと入る。
マットを夏用から冬用に付け替えて、抱き枕はこれしかないからとりあえず保留として、掛け布団はタオルケットの他に、暖かいマイクロファイバー毛布を使い始めることにした。

決断は早い方だ。
行動も早い。
寒くて寝付きづらかった翌朝はやっぱり寒くて、だからさっさと季節を変えるためにマットを洗濯した。
寝具を全て洗濯し、夏を一掃だ。
洗濯機は放り込めばスイッチを押すだけできれいにしてくれる。
しかしそうした素晴らしい便利さに満足してしまい、決断、行動、その次の継続がどうも苦手とするところで、今回の場合、夏物を片付ける、冬物を出しセットする、が億劫でならない。

朝洗濯したのに、私の仕事は洗濯機のスイッチを押すところまでというように、その次の段階へなかなか進むことができず、寝る直前まで見て見ぬふりをして動かなかった。
また今度、と先延ばしにしたいのが本音なのだが、先延ばしにしたところで季節云々の前に、寝られる段階にすらない寝具でどう休めばいいのか。
我ながら勢いに任せて丁寧さが欠けるこうした行動にため息が出る。

寝られなくては仕方がない。
やれやれと重い腰を上げて、夜遅くに暖かなマットと掛け布団を引っ張り出す。
なぜ衣装ケースの下段に丁寧に仕舞ったのかと心の中で悪態をつき、それは前の季節の自分がいい仕事をしたからなのだが、それはそれと、無下に扱う。

最初から最後まで、通して丁寧に過ごせればと思う。
いわゆる泥臭いところ、実際に手を動かして形にしていく部分を雑にしてしまう嫌いがある。
丁寧に書いて、丁寧に描いて、丁寧に作って、丁寧に暮らしたい。
丁寧に話して、丁寧に人付き合いをしたい。
がちゃがちゃとした心の雑多な動きとそれの雑音とが、私を雑に動かしているはずだ。
変わるのは自分。
丁寧に暮らせば自身に悪態をつくこともなく、自分を大切に想うこともきっと叶う。
丁寧に心を保つ練習をしなくてはいけない。

着ている物はまだ夏仕様のままだが、暖かい布団に包まれて安心して眠ることができる。
もう怖くはない。
まずは丁寧に眠ろう。

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