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今更ながら乙武さんの【五体不満足】読んでみた

(2022.112 投稿)

どうも、おっさーです!

今回は、乙武洋匡さんの著書『五体不満足』を今更ながらに読んだ学びについてお話ししたいと思います。

この本の発行は1998年。

当時早稲田大学在学中の乙武洋匡さんによって書かれた本です。

おそらく日本で一番有名な障害者であろう乙武さんのベストセラー、障害児を育てる親として、一度は読んでおいた方がよいかなと思っていました。

よく母親は「子どもが五体満足ならそれでいい」と願うものだといいます。

まるでそれが、幸せに生きるための最低条件であるかのように。。。

この本は、そんな五体が不満足な状態で生まれてきた乙武さんの半生のお話しです。

なぜ人に恵まれるのか

まずこの本を読んで思ったのは、乙武さんって人に恵まれているなということです。

健常者とのグループの中で自然とリーダー的な存在になり、必要な手助けは受けながら周りと協調していく。

これはなぜか?

それは、乙武さん自身が障害があることによる心の壁をつくらず、手足がないことを単に自分の身体的特徴と捉えているからでしょう。

そして、そのように自分の障害を受け入れられているのは、2つの理由があるように思います。

ひとつは親の存在。

障害のある子どもを過保護に守るのではなく、できるだけ健常児たちの中で自由にやらせたこと。

もうひとつは、産まれながらの障害者だったということではないでしょうか?

障害を持った人間にしか持てないもの

「障害を持った人間にしか持てないものというのが必ずあるはずだ。そして、ボクは、そのことを成し遂げていくために、このような身体に生まれてきたのではないかと考えるようになった」

「乙武洋匡ができることはなんだろうか。もっと言えば、乙武洋匡にしかできないことはなんだろうか」

乙武さんは、このように自問しています。

2022参院選に出馬した乙武さんの落選は、個人的には非常に残念です。

過去にスキャンダルもありましたが、日本で一番有名で影響力のある障害者が彼だと思うので。

障害者とその家族の声を国会に届けてほしかった。

いいんだよ 乙武さんを通じてインクルーシブを理解する子ども

乙武さんが大学生となったある日のこと。

学校帰りと見られる小学生の男の子5、6人がやってきました。

彼らは乙武さんの姿を見つけると、「なんだアレ」、「気持ち悪い」と叫びました。

こんなことは日常茶飯事な乙武さんはとくに気にも留めずにその場をやり過ごそうとすると、 

「いいんだよ」

その中の一人の男の子が、不意にこんな言葉を発しました。

まわりの子も、「コイツは何を言うんだ」といった顔をしていましたが、もう一度、 

「いいんだよ」

乙武さん自身、子どもたちの好奇の的となっていろいろな感想を言われるのはよくあることだそうですが、「いいんだよ」と言われたのは初めてのことで、とても驚いたと語っています。

僕は、こういった考え方、障害者やマイノリティーに対しての理解がもっと進んでいくと良いなと思います。

とくに現代社会は高度な相互依存で成り立っています。

自分一人で家を建て、米を収穫して、服の布地を織っているわけではない。

みんながそれぞれ自分の強みを活かして、支え合いながら生活しているわけです。

障害があろうがなかろうが、それぞれが自分の強みを活かしていけば良いのではないでしょうか。

自分と違うところがあるということで排除していくのではなく、認め合って共存していく。

10才にも満たないこの少年の一言が、乙武さんの活動の源になっているといいます。

かっこいい障害者 

「障害者って可哀想」

そんな固定観念が日本にはまだまだあると乙武さんは感じています。

彼は大学在籍中、友人たちとアメリカ旅行に行きました。

そこで彼が見たのは、アメリカの障害者はとにかくオシャレだということです。

街の中で車椅子を走らせている老紳士はダンディで、オペラで隣の席に座った車椅子の女性も綺麗なドレスで着飾っている。

そんな「カッコイイ」障害者を見て、他の人たちははたして「ああ、かわいそうに」と思うのだろうか。。。

そう感じたと語っています。

僕はこれを読んで、「ああ、自分もそんなカッコいい障害者たちに会ってみたい」という思いが生まれてきました。

そして、僕はアパレル企業で生産管理の仕事をしているのですが、服で障害者やその家族の生活をもっと豊かにすることができるはずだ、とも思いました。

障害があるが故に服で困っていたり、着たいものが着れずにオシャレをあきらめてしまう。

そんな人たちの助けになりたいと。

障害のある人もオシャレを楽しみ、自分に自信を持ち、生活を楽しむ。

そんな社会の実現に、貢献できる人間になりたいと思いました。

障害者が障害者ではなくなる日

乙武さんは車椅子での生活をしているので、街の中をなんでも自由に移動するということはできません。

でも、もしも街中の駅にはエレベーターがついている、ホームと電車の間も隙間や段差がない、バスやタクシーもリフトが付いているとなったら、そこに障害はなくなります。

そうやって一つひとつ障害を取り除いていって、いつの日か、障害者が障害者ではなくなる社会が実現してほしいと願います。

「五体不満足」を読むことで、理想の社会のあり方が少し見えたような気がします。

乙武さんは著書最後、有名なヘレンケラーの言葉で締めくくっています。

「障害は不便です。でも不幸ではありません」

五体不満足 完全版 (講談社文庫)

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