初めてのホームシックと、友達になる突破口
さっきSpotifyを立ち上げたら、
「先月あなたはこの曲を67回聴きました」と
下記の曲が表示されたので久々に聴いてみた。
ほかの人にとっては別に何てことない曲だろう。
しかし私は先月イベントでDJの選曲をするのにこの曲を何度も聴いたので
そのイベントの思い出と共に妙に記憶に残っている。
結局他の曲との兼ね合いでこの曲はイベントでは流さなかったのだが、
名残惜しくて後からプレイリストにまとめて残してある。
(今見たら原曲ではなくリミックスの方だった)
東京でのイベントは友人たちが数年ぶりに企画したものだ。
小さなお店を借りてそれぞれにバンドの演奏やDJをする。
私は友人の1人に誘われてジェンベや歌を披露した。
※どんなもんか想像がつかない人は過去の記事を見てほしい。
イベントは日曜の昼間に行われた。
私は遠方から家族同伴での参加になるため、
前日から東京入りして1泊することにした。
初日は娘を連れて池袋のサンシャイン水族館という、
東京に住んでいた時は一度も行ったことのなかったエンタメ施設へ行った。
が、娘はそんなに喜ばなかった(暗い空間が怖かったようだ)。
そして夕方の変な時間にジョナサンで食事をし(なぜか若い人で超満員)、
新大久保のイケメン通りにあるラブホみたいなところに泊まった。
夜には一人抜け出して、歌舞伎町の音楽スタジオで友人と音合わせをした。
あいにくの土砂降りの中、木でできた太鼓を担ぐのに
ホテルの人にゴミ袋を1枚恵んでもらうなどした。
翌日は朝から再び友人と練習をするために、
夫に娘を預けて井の頭動物園へ連れて行ってもらい、
私は雨上がりの公園で蚊に刺されまくった。
そのあとは渋谷の雑居ビルの一角にあるDJバーへ電車で向かって、
慣れない機材をいじりつつ、友人とのライブ本番を迎えた。
出番が近づいているのに夫と娘がなかなか到着しないというトラブルにも見舞われたが、友人たちが機転を利かせてタイムテーブルを入れ替えてくれた。
直前に知らせたのにも関わらず、親子で駆けつけてくれる友人もいた。
さすがに練習期間が短過ぎて、私は太鼓も歌も散々な出来だった。
けれど夢中で何かに取り組んだのは久々だった。
色々なドタバタはありつつも、楽しい時間はあっという間に過ぎた。
すごく、ザ・東京っていう感じがした。
2日間で池袋・新大久保・歌舞伎町・吉祥寺・渋谷と繁華街を網羅した。
地方にはないハチャメチャで濃厚な時間と空間だった。
なんだか懐かしいなあという感じがした。
こんなにわちゃわちゃした休日は何年ぶりだろう。
数日間どっぷりと音楽に浸ること自体も久々だったし、
見慣れた顔たちに囲まれて、お互いに何も説明する必要なく一緒に過ごせる空間は久しぶりだった。
そして怒涛の2日間が終わり、
夫の運転する車の中で暮れゆく国道をぼーっと眺めている時、
私に異変が起こった。
ふと、泣きたい気持ちになったのだ。
というか、泣いた。
涙が止まらなかった。
ああ、これが俗にいうホームシックか、と思った。
私のホームは東京だったんだ、と。
初めてそんなことを思った。
この1年半で私は、
生まれ育った関東を離れて初めて地方暮らしを始め、
ここで一生生きていくんだと、
文字通り骨を埋める覚悟でがむしゃらに生きてきたけれど、
気づけば前しか向いていなかった。
新しい土地の人々にどうにか馴染もうとする一心で、
後ろを振り返る暇などなかった。
このとき初めて、慣れ親しんだ東京に後ろ髪を引かれる思いがした。
そしてハタと気づいたのだ。
これから帰る過疎の町には、
まだ「友達」と呼べる人が一人もいない。
私はあの町に帰ったら、また一人コミュ障をこじらせながら、
知らない人々を相手に必死で作り笑顔を振りまき、
私は怪しい者ではありませんよ、どうぞ仲良くしてくださいねと、
不自然な自己紹介を延々と繰り返さなければならない。
何も説明せずとも一緒に居られる相手など、あの町には存在しない。
そのことが急激にツラくなった。
なんだ、ここ1年半ずっとあの町のことだけを考えて、
必死にコミュニティに馴染もうと努力してきたけれど、
結局人間関係って、そんな一朝一夕にできるものじゃないんだ。
よくよく考えたら私、東京には20年以上も住んだじゃん。
今日のイベントだって初めは何もわからない状態だったけど、
何度も繰り返すうち、やっと皆と仲良くなっていったんじゃん。
そうやって時間をかけて築いていった関係性が、
たかだか1年半やそこらで手に入るわけないんだよ。
そう考えると絶望を感じた。
それと同時に、
なんだか急激に心が冷えていくのを感じた。
ある意味吹っ切れたともいえるかもしれない。
あのさ。
もう私が何者なのかとか、
そんなのどうだっていいじゃん。
誰に何と思われようが気にすることないし、
別に恥ずかしがる必要も、気を遣う必要もないじゃん。
友達が欲しいならただ自分から、
「友達になろ」って言えばいいじゃん。
シンプルにそれでよくね?
そしてその勢いでなぜか私は、
インスタを開いてとある女性に連絡をとった。
すでに何度か顔を合わせたことはあるけれど、
別にまだ「友達」ではないあの人だ。
キモイと思われるだろうリスクはとりあえず脇におき、
私はその人と、ちゃんと「友達」になろうと思った。
多分初めて、意識のベクトルが内から外へと切り替わった瞬間だった。
つづく
↓私がコミュ障炸裂して落ち込んだ日の話
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