片想いの足跡👣クリスマスの夜
瞬間
人の流れがゆるやかになった
にぎやかなクリスマスソングが流れる街の中に
不意に舞い降りてきた白い雪のカケラ
思い出したのは去年のクリスマス
窓の外で
静かに降り続いていた白い雪と
暗い部屋の中に
ポツンと点っていたツリーの灯り
膝を抱えて座り込んでいた二人は言葉もなく
静かにともる灯りを見つめていた
涙でぼやけていくツリーの灯りがどんどん滲んでいって
やがて
窓の外の雪とわからなくなっていく
悲しい別れじゃなかったよね
そう
ただお互いに
いま進むべき道が交わらなかっただけ
好きなだけでは
どうにもならない現実があることを知った
最後の言葉は
さよならじゃなくてありがとう
お別れのキスの代わりに
固い握手で背中を見送った
あの日から
ポッカリと空いた心の空隙を埋めるように必死に日々を暮らしてきたけど
支えのなくなった毎日は
何だかフワフワと足元が覚束なくて
何度も未練にすがりつきそうになっていた
冷たいカケラが頬で溶けて
ふと我に返ったように
人混みの中で立ち止まる
頬で溶けた冷たいカケラが
ポツリと涙を呼んできた
ポツリポツリとこぼれる涙が
うっすらと心の空隙を埋めていく
ゆっくり
……大きく深呼吸
いまはまだグラグラする気持ち
でも
今夜ひとしきり泣くために
一歩足を踏み出してみる
そうしたら
明日から
前を向いて歩けそうな気がした
🎄20代の頃、岡村孝子さんの「クリスマスの夜」という曲を聴きながら作ったものを、手直しして今回の投稿をしてみました。