サイバーパンク エッジランナーズ。これはあれや。あれなんよ。
やぁやぁ我こそはサイバーパンク2077のプレイ時間が100時間を超えるおっちゃんなり! 遠くにおらば音に聴け、近くば寄って目にも見よ!
っちゅうわけで「サイバーパンク エッジランナーズ」を観たんよ。最後の10話まで。1話から。順に。
「サイバーパンク エッジランナーズ」はCD PROJEKT REDっちゅうポーランドのゲーム会社が手掛けた大人気ゲーム「サイバーパンク2077」の世界を舞台にオリジナルストーリーが展開されるNetflixで大好評公開中のオリジナルアニメ。アニメ版の制作は「プロメテア」「キルラキル」「宇宙パトロールルル子」「リトルウィッチアカデミア」なんかで知られるアニメ制作会社のトリガー。ネットの動画配信やとディズニーの短編アニメ集「スター・ウォーズ: ビジョンズ」なんかにも参加しとるんよ。
あ、今回はネタバレなしやで! 「ネタバレするヤツははねられた車に服のスソが引っかかってそのまま引きずられて、アスファルトにゴリゴリ摩り下ろされるがいい!」っちゅう人も安心やね。
物語のあらすじは…。
主人公の“デイビット・マルティネス”はナイトシティで母親と二人で暮らす青年(少年?)。彼は母親の死をきっかけに学校を中退し、傭兵チームに拾われてその一員となる…。
まあ、これがあらすじっちゅうか導入やな。原作にも出てくる「アラサカ」っちゅう巨大企業が運営する「アラサカアカデミー」っちゅう所に通ってるんやけど、たぶんこれが高校か大学か、それくらいの感じ。主人公たち学生の見た目や言動からすると高校2~3年生くらいに思えるんやけど。
話は変わるんやけど。(と、ここでおもむろにうつぶせになり、上体をそらしてあごの下に両手を当てて体を支える体勢になるおっちゃん)
みんなはジャンルとしてのサイバーパンクっちゅうたらどんなイメージ? ビジュアル的にはさておき、ストーリーとしてはダークで重かったり、苦みがあったり、斜にかまえてたり皮肉っぽかったり、虚無やったり、クライムノベルやギャングノベル、アウトロー、暴力とバイオレンス(は同じやな)、人の命が紙より軽い…。
とかまあ、そんなイメージちゃうかな? おっちゃんはそうなんよ。実際、原作ゲームの方もストーリー的にはそんな感じなんよね。メインもサブも。他の作品でも「攻殻機動隊」やら「ブレードランナー」、「ニューロマンサー(ってホンマに読んでる人おるん? おっちゃんすぐ挫折したで)」とかそうやね。逆に、そういうところが爽快感なくて好きになりきれんっちゅう人もおるんちゃうかな。
ところが、「サイバーパンク エッジランナーズ」はちゃうねん。この作品は「友情・努力・勝利」。付け加えるなら「青年の成長」と「恋愛」も。まさに王道少年マンガ風のストーリー展開やねん。原作の世界観や設定をちゃんとリスペクトしてるから、突飛な設定やヒネッたアイデアなんかもない。ド直球ストレート剛速球真っ向勝負なんよ。
ネタバレを避けるために詳しい話はせえへんけど、傭兵チームに拾われるやん? 友情とか恋愛とか生まれるんよ。仲間とのキズナとか。で、ただの学生が傭兵として闘うために努力もするんよ。で、勝ち取るものもあるんよ。
映像や音楽もキャラクター造形も素晴らしいのは言うまでもなくこれだけでも観る価値あるんやけど、「王道少年マンガっぽいのはちょっと…」って人もおるやん? 実をいうとおっちゃんもそういうの、そんなに好みっちゅうわけでもないねん。仲間やね。(手を取って上目遣いにニコっとするおっちゃん)
せやけどね。ちゃうねん。ゲームやったことある人なら解ると思うんやけど、サイバーパンク2077の舞台でもあるナイトシティっちゅう街はとんでもない貧富の差があって、それこそ暴力とエロスに満ちてて、人は簡単に死ぬしドラッグも蔓延しとるし、冷酷な巨大企業の論理が支配してる世界なんよ。エッジランナーズの主人公たちも傭兵とは言いつつ、実際には裏社会の何でも屋。死と隣り合わせで企業からは搾取されるノーフューチャーな側なんよね。
せやから「友情・努力・勝利」もそういう設定の影響を受けて、あえてやらんでも自然とええ塩梅に歪んでんねん。法律的にはみんな人殺しの犯罪者やし、リーダーなんかも情に篤いええ奴やねんけど「サイバーサイコシス」っちゅう、えーと、身体改造しすぎて発狂するリスクを冒しながら自分を強化し続けてたりするしな。倫理観とか社会規範が違うから、狙わんでもその分で王道から微妙にはみ出す部分があんねん。
そんなわけで「サイバーパンクってあの雰囲気が苦手で。それやったらパン食って寝ますわ」っちゅう人も「王道少年マンガみたいなのって苦手で。それやったらパンツ食って寝ますわ」っちゅう人も、どっちも楽しめるんでぜひ観てほしいんよ。
原作ゲームの方を一切知らんでも楽しめるっちゅうのもいいところやね。作中の場面は基本的にゲーム内の場所に照らして作られてるそうで、知ってれば「ここあそこやな」「これはあれやな」「こいつはあいつやな」って楽しめる部分もあるんやけど、それはまぁ、おまけみたいなもん。
「サイバーパンク2077のあのストーリーの雰囲気が好きで、あれと違うんやったらノーサンキュー。BD観て寝ますわ」っちゅう人だけは観るのためらうかもわからん。けど、そういう人にも考えてみてほしいんや。ナイトシティって広大で、大勢の人が暮らしてるやん? つまりVの眼を通して観たナイトシティって一面ではあるけれど、それで全部じゃないんよ。むしろそれとは大きく印象の異なる一面もある。それを受け入れて成立させるだけの懐の深さがある。「サイバーパンク エッジランナーズ」を観れば、そのことがきっと実感できるはずや。
かく言うおっちゃんもエッジランナーズ観て一番印象的というか、「なるほど。確かにナイトシティって大勢の人が暮らしてて様々な生活があるはずやもんな」って強く印象に残ったのは第1話の最初の方。主人公と母親の二人暮らしを描いた場面やねん。
原作ゲームでも子どもは出てくるんやけどNPCの通行人やったり、サブクエストでちょろっと出てくるだけで、あんまり「家庭」って感じのする場面てないんよね。ゲーム主人公の“V”の立場を考えればそれで当然やねんけど、せやからこそエッジランナーズの冒頭で母子の(わりと日本的な)親子の一幕にはサイバーパンク2077の世界を拡げられた感じがしたんや。
てなわけでみんなね。どうかな? 「サイバーパンク エッジランナーズ」観たなった? 1話25分の全10話やから休みの日に起きたら夕方やったとしても、無理なく一気見できるんやで!
※カバー画像はMEMEPLEX画伯。