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第4回「構造を捉える」
クリティカルリーダーのかずえもんです!前回のクリティカル・リーディングは、感情に流されずに読むコツをお伝えしました。
今回取り組むのは、文章全体の「構造を捉えること」。題材は、日本の原子力政策に関する社説です。
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前回のおさらい
前回はベトナムからの技能実習生に関する心痛む記事を、”感情に流されずに”相手の主張がどの位の説得性を持ったものなのか、整理しながら客観的に読むことを行いました。
大きな構造を掴もう
今回扱うのは、原子力事業に関する社説です。
先ごろ欧州委員会が、EUタクソノミー(グリーンな投資を促進するための分類)の中に原子力発電を含めたことで、見直しの機運が高まってきました。社説ではEUの動きに反して、日本の原子力政策が「思考停止」に陥っていると指摘しています。
この文章の中には、大きく三つの「論証(主張と根拠のセット)」があります。イントロ→論証1→論証2→論証3→まとめ(提言)という大きな構造を掴みながら読んでみてください。
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引用元:河北新報社説(2022/3/5) https://kahoku.news/articles/20220305khn000005.html
※このシリーズに用いる引用は、著作権法第32条に認められる範囲内で行っております。
社説(3/5):EUの原子力評価/日本の思考停止 浮き彫り
欧州連合(EU)の行政執行機関・欧州委員会が先月、気候変動対策に適合する経済活動のタクソノミー(分類)に原子力を含めることを承認した。東京電力福島第1原発事故後、世界的に見直しの機運が高まった原発の有用性が再評価された面はあるが、この先「復権」に直結するかといえば疑問符が付く。
承認に当たり付された厳しい条件がその理由だ。欧州委は「新設炉は2045年までに建設許可」「既設炉は40年までに運転延長認可」「50年までに高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場を操業する詳細な計画」などを条件に挙げた。これら全てをクリアするのは並大抵でない。
見逃せないのは、原発の新設や運転延長の最終判断は40~45年まで、と年限を区切った点だ。これ以降は原発稼働に関する新たな動きを認めないという意思表示にほかならない。原子力を一定期間は利用するが永続的にではない「過渡的な技術」に位置付けたとも言える。
タクソノミーは…
つづきは原文でお読みください。
・・・・・
構造を捉えて読めましたか?
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分解して読んでみよう
それでは冒頭からみてみましょう。
"欧州連合(EU)の行政執行機関・欧州委員会が先月~「復権」に直結するかといえば疑問符が付く。”
ここがイントロです。
EUタクソノミーに原発が入ったからと言って、日本の原子力の復権するわけではない。という意味合いですね。
そして、ここから三つの論証パートが始まります。
論証ごとにまとめてみる
掻い摘んでみるとつぎのようになります。
論証1の該当箇所
”承認に当たり~「過渡的な技術」に位置付けたとも言える。”
根拠:EUの条件は厳しい。原発新設や運転延長の判断には年限があり永続的に認められるものでは無い。
主張:日本でそれをクリアするのは難しい。
論証2の該当箇所
"タクソノミーはEU域内の~新増設や建て替えをするかどうかについては言及を避け続けている。"
主張:EUに比べ、日本は原子力事業の将来像を提示していない。
根拠:過去3回にわたるエネルギー基本計画で原発の新増設や建て替えについて言及していない。
論証3の該当箇所
"原発は計画表明から運転開始までのリードタイムが~行き詰まる現行政策の目くらましではないかと勘ぐりたくなる。"
根拠:原発は計画から運転までのリードタイムが長く、増設・建て替えはそれを考慮する必要があるのに、議論がない。
主張:既設炉は予定を延長して運転し、新規設置しないというのが政府の本音ではないか。米国への技術協力は行き詰る政策の目くらましではないか。
こんなふうに、三つの論証で整理することができます。
最後は提言部分
しめくくりの部分をみてみましょう。
"EUタクソノミーが核のごみ最終処分場の~更田氏の苦言は規制面のみならず、原子力政策全体への警鐘でもあろう。"
最後はタイトルである「日本の思考停止」に通じる、原子力政策全体の議論を進めるべきだ、という意味合いの文章で終わっています。
さて、整理ができたうえで、もう少し深読みしてみましょう。
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推察の箇所に注目
三つの論証をよく読んでみると、論証1論証2と異なり、論証3の主張が「~のように思えてならない」「~ではないかと勘繰りたくなる」といった書き手の推察になっていることがわかります。
該当する部分を見てみましょう。
既設炉は60年または法改正でそれ以上動かすが、軽水炉の新規設置はしない-。これが政府の本音のように思えてならない。
1月に公になった次世代原子炉「高速炉」開発を巡る米国への技術協力も「革新原子力の開発を着実に進める」(岸田文雄首相)とアピールすればするほど、行き詰まる現行政策の目くらましではないかと勘ぐりたくなる。
この二つをよくよく読んでみると、二つ目の推察「次世代原子炉のアピールが現行政策の目くらましではないか」については、その根拠を示す部分がないことに気が付きます。
データの多い文章は、推察が混ざっても違和感が少ない
全体を流して読むと、書き手の推察も違和感をあまり感じないのは、たくさんのデータを持った根拠が与えられているためなのでしょう。
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データの多い文章は、とても説得力があります。読み手がよく知らないジャンルである場合はとくに数字や固有名詞に圧倒されて、分析する観点を失いがちです。
推察の記述があるときには、いったん立ち止まり、その推察の根拠を探してみるようにしてみましょう。
・・・・・・・
いかがでしたでしょうか。文章の整理の仕方はご紹介した以外にもありますが、「根拠と主張」のセットをみつけて構造的にとらえてみると、より客観的に文章を読めるようになります。
みなさんもぜひトライしてみてください。
ではまた次回!
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