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ベンチャーがうっかり従量課金の翻訳サービスでクラウド破産しかかった話

ある月の綺麗な夜、自室で遅くまで仕事をしていた僕は何気なく開いた通知を見て言葉を失った。その後しばらくのことはよく覚えていない。月に向かって吠えたかもしれないし、窓からベランダへ出て逃亡を試みたかもしれない。子どもたちを揺さぶり起こしたりはしていないと・・・思う。

これは、当社始まって以来の大事件がいかにして起き、いかなる終結を見たか。以下、Slackのやりとりの一部始終である。

6月28日

夜、23:00頃に届いた翻訳機能の請求書を何気なく見ていた僕は固まった。

(以下、Slackのやり取り)

僕「・・・ひとまずサーバ落とします。ちょっとヘルプ」
エンジニア「どうしたんだい?」

僕「開発環境の翻訳関連のクラウドの請求が、144万になっている」

エンジニア「うっそー※×〇△!」
僕「冷静に、冷静にならねば・・・だが先月は2000円くらいだったんだが」

エンジニア「なんと700倍」

僕「とりあえず原因を探らないと・・・」

~原因調査の段~

エンジニア「うーむ。データ再送が発生してるのかな。」
※なお先月の2000円とは約200万字の翻訳に対する費用である。
144万円もつぎ込もうと思ったら、

1285円×100万文字を、記事数の約6000件で割ると、1件あたり210万文字処理した計算になるが・・・ありえないね(エンジニア)

僕「じゃあ、架空請求?向こうのミスだと良いなぁ。」
エンジニア「と思ったけど、6月上旬からこっちの、Translateのログファイルの大きさが異常だ。おそるおそる開いてみると・・・」

頭脳派「大事件・・・料金グラフからすると、ほぼ直線的に増えてるので始まりが疑わしいのでは」
エンジニア「たしかに。6月6日からログの大きさが数百倍に。」

エンジニア「データに重複しているものを発見。翻訳終了後、DBに書き込もうとして書き込めなかったエラーかな・・・。とすると、あれ、やっぱりうちが悪い?!」

僕「ぴえん」

頭脳派「とりあえず、他の方がどうやってクラウド破産に対処してるか見ておきましょう。それから料金の閾値も設定しときましょう」

僕「今頭がパンクしてるからこういう、先達の知恵、助かるわ・・・でも、公開事例の中で一番金額が大きい。。」

エンジニア「にしても144万円の請求になるほどデータ量が無いんだよなぁ。」

深まっていく夜と深まる謎。

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6月29日

翌日。

エンジニアⅡ「こちらですが、一部のデータが重複して翻訳処理をかけられていたみたいです・・・・・・」

つまり、従量課金の翻訳サービスに、同じ文章を何万回も自動プログラムで翻訳するように送ってたって事!なんだそのお金を溶かすプログラム!

僕「なるほど、そこだったのかー!」「やっぱりうちかー!

さて、ここからはM社と話さねば。どうしよう。そんなのひどいじゃないか、数万円になった時点で通知が来てしかるべきでしょう!?と、逆切れしようか。いや、でもこんな時は策を弄さず、生身でぶつかった方が案外うまくいく・・・?

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ドキドキしながらM社に電話して、事情を説明。結局、色々考えた割には、誠心誠意、良い意図で善良な経営をしていたのに、この様なことになってしまった。何とか助けてほしいと泣き落とし。僕ら、ぺーぺーのベンチャーなんですぅ。

結果、M社からのメール連絡を待つことになった。金額も大きく、本件は本国送りの事案になったのである。

7月7日

一週間後。約束通り、M社から進捗の連絡が届いた。

まだ最終決定はなされていないが、支払いの期日を一ヵ月伸ばしてくれるという。うう、日本の担当の方も親身になってこんな対応をしてくれるなんて。

クレジットカードの限度額を超えまくって落ちない、という事態はいったん免れて、一カ月延命。

7月14日

一週間後。

見知らぬ番号から電話が。誰だろう。

M社「M社の✕✕です。」

僕「・・・はい。」ああ神様。

M社「この度は、ご心配をおかけいたしました。今回の件は請求をキャンセルさせて頂きました。」

僕「・・・!!!

いえいえ、ご心配なんてとんでもない。あ、ありがとうございます!」

よかったぁ~~~!


僕「M社から免除の連絡が!!!」

みんな「わ~~ぱちぱち M社大好き」

番頭「よかった~~これで枕を高くして眠れる~~~まぁ毎晩ちゃんと快眠だったんだけどね、ははは」


こんな顛末で、わが社は彗星のごとく現れたクラウド破産の事態を免れたのであった。各メンバーの成長と僕の1キロの減量を残して☆

でも、今回の件は、M社の対応に感謝。大手のサービス使っておいてよかったぁ。

教訓
1.従量課金の外部APIをコールするプログラムは、繰り返して同じデータを送らないこと!
2.相談は、正直にすること

M社は今回のような案件は特例対応として取り扱ってくれた。そりゃそうだ。こんな対応毎回できるものでもない。くれぐれも、いい大人の読者の皆様におかれてはノリで真似なさらないことをお勧めする。笑い話は飲み会で使えても、財布がからっぽでは飲み会にすらいけなくなってしまうのだ。

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さて、一大事の後は、うちらしくリモート飲み会でも開催するかな。

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