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がんは不安だけどこんな幸せもあるかもよという話

大腸がんです

って母ちゃんお医者さんに言われたけれど、
血液検査して、CTとって、
たぶん大腸がんだって
わかっちゃいるけれど、

ほんとにがんなの?
どんなことになってんの?
どれほど進んでんの?
ていうのは、

内視鏡検査で覗いてみて、
やっぱりそうだって確定させる
必要があるらしい。

ので、翌日に改めて診てもらうことに。
内視鏡を肛の門から入れるので、
お医者さんから食べないでね
と言われていたけど、

やっぱり食べたらあかんよなあ?
と2回聞いてきたので
母ちゃんまだ大丈夫かもと思った。

けど母ちゃん食べること大好きで
その辞書に腹いっぱいの文字はなく、
食べれないのはつらいだろうなと
また胸締め付けられる。

で、病院に行った。
スムーズに内視鏡検査してもらえた。
が、母ちゃんのベンは
スムーズに出てくれない。
浣腸しても出なかった。
でも検査結果は出るのでしばらく待った。

心の中で、間違っててくれ、
もしがんだったとしても
悪い部分をちょんと切って
一丁あがりで終わらせて。

いつも元気な母ちゃんだ。
そんなに悪いはずはない。
奇跡は起こる。

頼む…頼むよ…頼みます。

そう心の中で祈ってたんだけど、
診察室に入るなり

大腸がんですと。
大きいですと。
進んでますと。

マイク握りしめ張り切って登場したけど
歌い始めてすぐカーーンと鳴らされる
のど自慢のおとうさんの気分。

早すぎてズコーーってなっちゃう。

前日「私、がんでっしゃろ?」と
堂々としてた母ちゃん

ここでも、そうですかと
落ち着いてたのは
心底すごいなと思うけれど、

でも、でも、やっぱり
超絶ショックだったろうなと思う。

で、母ちゃんの大腸の状態なんだけど、
大きくなったがんが大腸を塞いでて
ベンをつまらせてる感じ。

お医者さんの口から
大腸がん、転移、リンパなどなど
悪い意味での猛烈な
パワーワードが繰り出され

ボクの呼吸はどんどん
浅くなってった。

進行も割とあって手術では取れないから
抗がん剤で小さくしてく他ないと。

ボクは専門家ではないし
知識もないけれど、
先生の説明はわかりやすかった

親身というかそんな雰囲気ってあるやん?
そういうの伝わってきて、

この病院で診てもらうのが
良いかなと思って、
母ちゃんも同じ気持ちだったので、
まずはこの病院で世話になるろうと決めた。

で、これからどうしていくか?
抗がん剤にも色々あるのね。
母ちゃんの遺伝子に合った
抗がん剤を調べてくれるんだって。

なるべく早く治療したいと
先生言ってくれるのは
心強いんだけど
急がないといけないのかな
とも同時に思う。

前日から涙腺のネジ
外れちゃってるボクは、
この日のお会計の待ち時間でも
無音で泣いた。
帰り道も泣いた。
母ちゃんも泣いてた、と思う。

でも哀しいことがあっても
食いしん坊万歳な二人は
お腹をすかすのです。

前日スーパーの弁当は
不味いということを学んだ二人は、
かまどやで弁当を調達した。
帰ってすぐにほおばった。

むちゃくちゃ美味くてこう思った。
ホットモットに押され気味だけど、
さすがやと。やるやんかまどや、と。

で、同時に、この日、
身をもって学んだこんなことを思い出した。

自分たちは特別ではないということ。
奇跡なんか起きないということ。

自分たちに限ってとか、
自分たちは大丈夫なんて絶対にない。
自分たちはいつもリスクと
隣り合わせなんだなと。
だからこそ備えが大切なんだなと。

母ちゃんが身をもって
教えてくれた教訓だから
しっかり検査やってこう
体いたわっていこうと思う。

で、もう一つ学んだ
とても大切なことがある。

母ちゃん大腸がんになって哀しい。
けれども、そんなときでも、
かまどやの弁当はバリクソ美味い
ということだ。

哀しいときでも
幸せはあるんやなと。

だからな、母ちゃん、
これから不安もあるけれど、
幸せもあるかもよ。

弁当美味いなあって
言い合った
ちっちゃな幸せの瞬間

ずっと覚えておこうと思った。

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