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村上春樹の新作長編小説と「BRUTUS」
先日、
時間調整を兼ねて入った書店で
「村上春樹」の文字がずらっと並んでいるのを見た。
正確に言うと
雑誌BRUTUSの特別編集版『村上春樹』が、棚の端から端まで並べられているのを見た。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/102428895/picture_pc_db1c2033fcb031790f9a00b434a8069b.jpg?width=1200)
この本がずらり。
つい数日前に、彼の新作、長編小説が4月13日に刊行される、と発表されたところだから、相乗効果を狙っているのか、
他の既刊本も、ハードカバーから文庫本まで側に並べ、ちょっとした「お祭り騒ぎ」になっている。
時間つぶしの読書にはやはり文庫本なのだろうけれど、
せっかくなのでBRUTUSを購入した。税込1760円。
持ち歩くにはちょっと重い。
フルカラー約140ページ。
1時間強の時間つぶしでは到底読み切れない。
紙も厚いけれど、中身も厚い。
特別寄稿があり、インタビューがあり、所蔵するクラシックレコードの話があり、と実に盛りだくさんだ。
特に心を惹かれたのが、
「村上さんが手放すことのできない51冊の本」と題された記事であり、
「50冊に収めたかったけれど、収まらず51冊になってしまった」というエピソードとともに紹介されるそれぞれの本がとても興味深く、素敵だ。
出来ることならすべて読んでみたいと思う。
さらに、
『ボブディラン詩集』など、私の所蔵する本が2冊含まれていることに、思わず「やった!」と、喝采を叫ぶ。
冒頭に置かれた「うちの書棚から」という寄稿文が素晴らしい。
考えてみれば、僕はこれまで小説を書くことで悩んだり苦心した覚えがほとんどない。もし何かが欲しければ、もし何かが足りなければ、その貯水池から自分のための水を汲んでくればよかったわけだから。
本当に大事なのはモノではなく、身体の内側に染み込んだ記憶だ。心からそう思う。霊感とは記憶のことだと誰かが言った。
しばらくすると、新作のタイトルが発表された。
『街とその不確かな壁』。
どこかで読んだことのあるタイトルだなぁと思っていたら、
いつも読んでいる新聞のコラムで取り上げられていた。
村上春樹をめぐるメモランダム
4月刊行の新作長編小説のタイトルは「街とその不確かな壁」だった!
これは長く村上春樹さんの文学に親しんでいる者なら、すぐにピンとくる題だ。1980年の文芸誌「文学界」9月号に発表され、単行本にも全集にも収録されなかった幻の中編「街と、その不確かな壁」である。
そのタイトルは、
以前、文芸誌に発表されたものの、その後、単行本にもならずにいた中編小説「街と、その不確かな壁」から読点(、)を除いたものだという。
私は、その中編を読んだことがない。
――どこかで読んだような――と思ったのは、
○○と○○
○○と壁
といったタイトルに目が馴染んでいただけなのだろう。
例えば
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」
「卵と壁」
のように。
読点(、)は無いほうが良いのだろうか?
それは、新作を手にしてから考えてみたい。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
見出し写真は横浜公園に咲くチューリップ(星川玲撮影)です。
記事中の写真は雑誌BRUTUSの表紙を撮影したものです。