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【6】年収290万の派遣社員、挙げ句の果てに子ども部屋おじさん(43)が結婚した

前回のあらすじ
何とかマッチングにこぎつけた私は、長文が大好きな自分を抑え、お相手の出方を探りながらメッセージを試みたのだった。

「そうなんですね」は地獄の合図

マッチングしたと言えど、感触がいいのか悪いのかがイマイチ分かりにくい。会話の波に乗ってくださるとこちらもありがたいのだが……。話題を引き出そうにも引き出せない。サッカーで例えるなら、守備固めのドン引きサッカーだ。どうやっても攻めあぐねる。

「そうなんですね!」

私自身、この言葉は「さっさと会話を切り上げたい」そんな時に用いるため、あまりいい気はしなかった。気を取り直して、お相手の趣味にカフェ巡りとあったので、おすすめのカフェがあるのか聞いてみるも、

「とくにないです!」

私は一体何をしているんだろう——。向こうから話を仕掛けてくるわけでもない。お相手からすると、私はたくさんいる内の一人だろうから、対応がおざなりになるんだろう。

早々に疲れた。移住のために物件探しも並行して進めていたのが、他のことでも色々とやることはある。

虚ろな目でアプリを眺めると、新しくマッチングした旨の通知が付いていた。

「こんにちわ!趣味は何ですか?」

メインの写真が山登りの一場面であるにも関わらず、この言い草はどうだ。流石にこれは理解に苦しんだ。その前に「わ」とは何だ「わ」とは。

リライトのリライト

裾野を拡げて色々な人との会話のチャンスを得るのはいい。闇雲にやるのはダメだ。下手な鉄砲は数を撃っても当たらない。唯一の収穫はアプリの傾向は掴めたことだ。

おさらいする。私の真の目的は山登りに一緒に登ってくれるパートナーを探しているのだ。こうなったら尖らせよう。特化したものにしないと、差別化を図れない。

年収、学歴、身長、イケメン等のステータスを好む婚活層に相手にされない私はどこかで先鋭化させないとその他の目にも入らないのだ。

以下、書き直したプロフィール。
前提として、山を楽しむ写真は変更なし。


ご覧のように山が好きです。 

人混みが苦手で、気が付けば山に登っていました。
自分の足で踏み入れないと観られない景色や、日々の生活では味わえない達成感に魅力を感じます。

コロナ禍にあたり、今後の人生を考えた時に◯◯県に移住することを決意しました。自然が豊富なことと、窮屈さがない穏やかな土地に惹かれました。

土地のことを色々と教えてくださったり、あわよくば、一緒に山へ登ってくださる方がいらっしゃればなと思います。

お互いに見つめ合うのではなく、同じ方向を向いて山の頂を目指す——。そんな関係性を求めています。


我ながら臭いし、長い。今、書いていても小っ恥ずかしい。ただ、他との差別化を図るのであればこれくらい大袈裟でもいいだろうと踏んだ。読む方は読むだろうし、読まない方は読まない。そもそも読めないのなら読まなくて結構。そういう気概で書き直した。

事実、ここから大きく事が動き出した。

つづく

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